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MG ミジェット 1978年式
車検 2026年6月 走行 80,200km (メーター読み) 備考 左ハンドル、4MT
長さ 345cm 142cm 高さ 123cm 重量 810kg 排気量 1490cc
取材日2025年11月8日


G Midget ― 小さなボディに宿る、英国ライトウェイトの魂
小さなボディに英国ライトウェイト・スポーツの魂がギュッと詰まった、そんな英国車MGミジェットの世界を少しばかり。

初めてハンドルを握った瞬間、思わず微笑んでしまう。
軽やかで素直、まるで生き物が手に寄り添うかのように反応する、そんな“純粋なドライビングの喜び”をそっと思い出させてくれる、MGミジェットとはそういうクルマ。

1960年代初頭の英国、戦後の復興が進み、人々の暮らしにようやく余裕が戻り始めた頃、街には若者の活気があふれ、モータリング文化が花開いていった。
そんな時代にMGが描いたのは「誰もが手に届く、楽しめるスポーツカー」という夢であった。
当時、MGを擁するBMC(ブリティッシュ・モーター・コーポレーション)は、大衆車をベースにしたライトウェイト・スポーツで市場を広げようとしていた。
思いはこう、大きくて高価なGTカーよりも、もっともっと身近で、言うなれば週末に工具片手に遊べるような“クラブマンの相棒”を目指そうと。その発想から生まれたのがミジェットである。

開発チームは、既に人気だったオースチン・ヒーレー・スプライトの設計をベースに、MGらしい洗練を与える。
伝統の八角形バッジを掲げ、スポーティな内外装に磨きをかけ「MGらしさ」をコンパクトなパッケージに凝縮したものであった。
こうして1961年に、初代 MkTとしてミジェットはそのベールを脱ぐ。
小気味よく回るAシリーズエンジンと、軽快なステアリングの乗り味は、まるでカートかのように形容されていたとか。
さらにMkUでは足回りが改良され、続くMkVでは1275ccへと排気量アップ、内装もさらに上質になる。

そして最終型へ、といく前に、、、
ここまでのMGミジェットは、クラシックなメッキバンパーをまとっていた。メッキパーツをあしらうのは、英国車らしいと言えばその通りであり、光を受けて鈍く煌めくクロームの存在感が、車全体に「質感の厚み」を与え、車そのものの「体温」とでも言うべき存在感を持っていた。

MkW以降のラバーバンパーでは少し印象が変わるが、この初期モデルたちに宿るクロームの輝きと手応え、そして全体に漂う“重みある質感”こそ、MGミジェットが持つ特別なキャラクターのひとつだったと言える。

話を続けよう。
MkW(1500)は、時代の安全基準に合わせてラバーバンパーを採用し、より成熟した“ラスト・ミジェット”である。変わらぬ小さなボディに、初期モデルの軽快さと遊び心を保ちつつ、完成度の高さと余裕が漂うモデルとしての存在感を示している。
そして、このMkWを最後に、ミジェットは幕を閉じるのであった。

終焉はどのクルマでも淋しいものだが、ことミジェットに関しては、どの世代にも共通している「ドライバーとクルマが対話する楽しさ」へのこだわりを色濃く感じる。おそらくMGのエンジニアたちはスペックではなく“感触”を磨き続けたのであろう。ステアリングを切った瞬間に伝わる軽さ、小気味よく噛み合うギア、そして低いシートからダイレクトに感じる路面の鼓動、そのすべてが彼らの情熱の証とも言えるのではないか。
クロームの輝き、クラシックなメーター、オイルの匂い。時代を超えても色あせない“英国の粋”が、この小さな車体に詰まっている。
ガレージに置けば絵になる、走らせれば笑顔になる、それは「クルマを操る喜び」そのものを形にした唯一の存在、それこそがミジェットの魅力であろう。

モデルじゃない、心で選ぶ
では、ここからはオーナー様のお眼鏡にかなったミジェットを見ていくことにしましょう。
目の前にあるそのクルマは、淡い水色のボディにクロームパーツを纏っています。そしてワイヤーホイール、いかにもマークVまでの装いです。

しかし、データを見ると排気量は1500cc、登録は ’78年、つまりデータ上はマークWです。これをオーナー様に尋ねると、周囲からマークIと言われたんだと言う答えが返ってきました。
そう、おそらくはマークWをベースにメッキコンバージョンをした模様、しかしオーナー様にとってモデルなど取るに足らないものであるのが、お話ししていく上でわかってきました。

購入時にはすでにこの格好、しかし、それがオリジナルなのか、確かめることはしていないのだそうです。つまり、大切なのは自分の直感と感性であること。モデルやデータの境界線なんて関係ない、この姿、この空気感、それだけで選んだと言うのが、このミジェットとオーナー様とのコントラストから現れていました。

なので、モデルに関してもう言及するのはやめておき、コンディションのご説明を。
このミジェットは、いわゆる“フルレストア済み”ではありません。ピカピカに磨かれた展示車のような輝きはないです。けれど、その代わりに時を経た、言わば自然な風合いが残っているかのような外装です。

ボディにサビやヘコミ、腐りなどはないですが、小キズや塗装のクロームにも経年のくすみがあります。しかし、それらが不思議とこの車を魅力的に見せています。
オープンボディを日常で使うに重要な幌はいい状態です。リアスクリーンも非常にクリア、透明度は高く、視界は良好です。三角窓の動作も正常、エアコンなしである故これはありがたいです。

車内に目を移します。
それは極めてシンプルな、言うなればクラシックらしい素の魅力が丁寧に残されています。
目を引くのはインパネがオリジナルとは異なるボディと同色の金属プレートに変わっていること。ボディの淡い水色がそのまま車内にも流れ込み、シンプルながらも上品な、時代を感じさせる雰囲気を作り出しています。グローブボックスがない分視界は驚くほどスッキリとしており、クラシックライトウェイトスポーツらしい“軽さ”がそのまま伝わってきます。

操作系は簡素ですが誠実、スイッチ類は必要最低限ですが、目立つのはキルスイッチ、そこにエンジンスターターボタンが加わり、古さの中にほんの少しの実用性と遊び心を感じられる仕上がりになっています。メーターの視認性も良好で、針の動きもしっかりと反応します。この年代の車としては落ち着いた状態で、“使えるクラシック”として好ましいポイントです。

ビニールレザーのシートは運転席に補修跡があります。こちらは破れが出たため、柔軟性のあるテープで補修してあります。助手席は問題ありません。カーペットはキレイ、内張も傷みはありません。感触としては、シートに座った時の適度な張り、各部の手触りの質感は、過度なレストアを行っていないからこそ、その個体特有の雰囲気を醸し出しています。

ボンネットを開けると、そこには素直な性格の B-15GA エンジン が収まっています。キャブレターは SUのシングル、この組み合わせらしい、穏やかで扱いやすいレスポンスが心地よい仕様です。始動性は良好で、キーをひねれば迷いなく火が入り、アイドリングも安定、古い英国車にありがちな“ぐずり”や気難しさはなく、回転を上げたときも軽やかに吹け上がっていきます。

これまでのトラブルと言えば“燃料が行かなくなる”という、この年代では比較的よくある症状が一度出てそう。現在は燃料ポンプの位置をエンジンルーム外へ移設し、熱の影響を受けにくいレイアウトに改善されています。以降は問題なく“長く付き合えるクラシック”らしい落ち着きを見せています。

エンジンはオリジナルスペック、無理に手を加えておらず、当時のらしさを残しながら実用性を確保した好バランス仕様。軽快に回る小排気量の英国ユニットらしい魅力を、そのまま楽しめる状態です。

クラッチは、この年代のミジェットらしい個性をそのまま受け継いでいます。それは2速から3速へのシフトチェンジの時、このモデルの“お約束”ともいえるウィークポイントでシンクロが弱く、グランキング気味になったり、わずかに入りづらさを感じることがあります。

しかし、現オーナー様はその特性を熟知しており、このギア間だけはダブルクラッチで丁寧に対処。それによって変速はスムーズに収まり、それはクラシック・スポーツの持つ“操る楽しさ”が際立つ儀式かのようで、扱い方ひとつで素直に応えてくれると言ったところでしょうか。

さて、隣で試乗を行った際の感想を記します。
ボディはミニマムで、乗り降りにはタイトさを覚えます。しかし一度シートに収まってしまえば、それは窮屈さではなく、フィットする安堵感へと変わました。切り立ったフロントウインドウ、インパネとの近い距離感、車と自分の境目が曖昧になるような、独特の近さがそこにあります。

キルスイッチをひねり、スターターボタンを押し込む、そのわずかな儀式が、まるで機械が目覚める瞬間を確かに感じさせてくれます。いざ走り出すとSUキャブの微かな吸気音が耳の奥でささやき、控えめな排気音がそれに重なって、軽やかなリズムをつくります。けっして大げさではない、けど、この控えめな主張こそが、古い英国車らしい“軽快さ”を素直に伝えてきました。

そして2速から3速へ……オーナー様が自然に踏むダブルクラッチが、この小さなスポーツカーをより生き生きとさせます。運転操作そのものが“走らせている実感”へと直結する、そんな光景に見えました。

その日はかないませんでしたが、幌を開けた瞬間もミジェットの魅力のひとつです。クローズドの“包まれる感覚”は一変、風が巻き込み、光が差し込み、オープンスポーツらしい伸びやかな開放感が広がる、オープンにした時の感覚を容易に想像させました。

決して強烈な加速をするわけではない、高剛性ボディをカーブで遠心力と闘うわけではない、しかし、この小さな英国車には、数字では測れない感覚の振れ幅があります。それこそが、ミジェットという名が長く愛された理由なのかもしれません。

ここで、オーナー様のクルマを交えた人生観を。
まず、このミジェットの魅力をうかがうと、こう言って微笑みました。
「華奢なところが、むしろ魅力なんです」
それは決して弱さを好むという意味ではなく、むしろミジェットが持つ“軽く、小さく、飾らない”個性と、オーナー様の趣向がぴたりと重なった、そんな出会い方だったのでしょう。

幼い頃からクルマが大好きで、なかでも心を奪われたのは1台のポルシェだったそうです。その姿を初めて見た瞬間の衝撃、それが後の人生の“設計図”を決めてしまったと言っていいほどの出会いでした。いつか必ずポルシェに乗る、そう胸に決めてから20年もの間、ポルシェ貯金を続けたそうです。そして40歳の節目、ようやくその夢を現実にし、自らの手でポルシェのキーを握ることになりました。

そう聞くと、オーナー様にとってクルマは“いつか”の象徴であり、人生をどう生きたいかを示すライフスタイルそのものなのだと感じました。だからこそ、このミジェットに惹かれていったのでしょう。

マーク1の姿でありながらも、排気量は1500ccで登録は78年。外観とデータの矛盾など気にしない、直感で目の前のこれがよかっただけ、そこに佇む1台と向き合った時に感じた“何か”こそが本質、そんな風に感じました。

そしてなぜ、このミジェットを手放すのか。
その理由は実にシンプルで、そしてどこか切ないものです。
「魅力は本当に大きいんです。でも……乗り降りが、なかなかね」
オーナー様から見たミジェットという小さな英国車の美点は華奢なところ、と同時に“タイトなつくり”という宿命も背負っています。その愛らしさに惹かれながらも、年齢とともにどうしても感じてしまう体力的な負担、そこに嘘はつけなかったと言うことでしょう。クルマは眺めるためにあらず、走らせることが意義深い、そんな思いが伝わってきました。

所有することで得られたこの魅力を次に受け取ってくれる人へ託したい、そんな思いが売却理由に込められています。
「魂が喜ぶ生き方をしたいんです。そして、その喜びは共有したい」
クルマを愛することは、オーナー様にとって心地よい空気を共有する行為なのでしょう。愛車を通して自分の喜びを周りに手渡していく、そんな穏やかで情熱的なオーナー像が、このミジェットの背景にはあると感じました。

モデルもわからない、仕様もはっきりしない、完璧ではないかもしれないけど、その不完全さが心地よさに通ずる、これを自然体と感じるオーナー様と価値観を共有できる方はぜひご検討を。


【お問い合わせに際して】
このページの車両は、クルマの個人売買情報サイト「エンスーの杜」に掲載されたものです。
エンスーの杜は自動車販売店では無く、広告代理店であり掲載車両は個人所有の物で、オーナー様のご依頼により取材を行ったものをFOR SALEとして掲載しています。

過去の整備記録や修理歴など含めて現オーナー様が把握している範囲でのコメントと事故歴の有無含めて取材しております。

この中にはオーナー様が知り得ない事柄もあり、またエンスーの杜でその裏付けをとったものではないため、コンディションや走行状況も担当者の主観によるものです。

本記事は2025年11月8日現在の状態を掲載しております。それから時間の経過とともに写真や記事の内容に変化が生じる場合がございますことをご承知おきください。

個人の為、消費税はかかりませんが、リサイクル料金と月割の自動車税のご負担をお願いいたします。

掲載車両に関してのご質問や現車確認のお申込はこのページの一番下よりご連絡下さい。
なお現車確認はあくまで「購入を前提」として検討されているお客様のみとさせて頂きます。

以上の記事内容は、オーナーさんのコメントをもとに作成したものです。
整備履歴、修復歴などに関しては、エンスーの杜で裏づけを取ったものではありません。
240万円
画像クリックで拡大出来ます
素朴さと機能美が同居した、クラシックMGらしい外観
取り回しの良さとクラシックらしい愛嬌を両立したコンパクトさ
明るいブルーとメッキが映える、好印象のフロントコンディション
丸みのあるリアにクロームが品よく際立つ
遠目からもスクリーンの透明度の高さがわかる
縦型デザインのテールランプは後姿に独自のキャラクターを与えている
コンパクトで扱いやすいサイズ感
ボディラインがきれいに出るリアセクション
クロームの輝きがキレイなのは、クラシックでは高いポイント
左側のステッカーは実はキズ隠し
ボンネットは艶感がしっかり残っている
オリジナルのエンブレムがしっかり残り、淡いブルーも艶やか
クラックのようにあるのは、サイドマーカー装着の名残
幌の状態は良好
視認性はバッチリ
キズやクモリはまるでなし
フロントウインドウのクロームも良好
ボディサイドも色ムラはない
タイヤサイズは前後とも145/80-13
センタースピンナーもあるそう
夏場にうれしい三角窓
フロントアゴ下の状態
燃料タンクに表面錆あり、使用には問題なし
サイドシル下も傷みはない
オイル漏れの兆候はない
ドア下も問題なし
キズではなく、おそらく乗降時についたであろうヒールマーク
ボディ同色のインパネが爽やかで統一感がある
ステアリングはモトリタのウッド
オリジナルメーターがクラシックな雰囲気を保っている
余計な装飾を排した英国車らしい潔さ
シートはシンプルで無駄のないクラシカルデザイン
テープで破れを補修をしている
タイトな足元にシンプルなペダル類
サイドシルにも傷みはない
こちらもシンプルな内張
コンソールのカーペットもキレイ
軽量スポーツカーらしく、扱いやすい硬さと支え感
助手席は傷みなし
内張の状態は良好
キルスイッチをイグニッションとし、ボタンでエンジンスタート
クラシックなシフトフィール、ダブルクラッチでスムーズに
幌は当然内側も良好
メッキ製ドアオープナーは控えめながら軽く存在感を示す
エンジンはオリジナルスペックを保持
SUシングルキャブは扱いやすく、スムーズな吹け上がり
メカニカルなステッカーもクラシックらしい
インシュレーターに破れはない
スペアタイヤもワイヤーホイール
トランクフードも傷みはなし


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