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メルセデスベンツ W124 300TE (前期型) 1990年式
車検 切れ 走行 225,000km (メータークラスター交換履歴あり・実走行記録あり) 備考 車体番号WDB1240901F185424/型式E-124090/原動機の型式103/M103直列6気筒エンジン/ヤナセ正規輸入車/左ハンドル/AT/ブルーブラック(色替え無しオリジナル塗装)/現オーナー様13年所有/FACT(神奈川県)小林氏によるメンテナンス車両/オーナー様による整備記録(手記)あり/整備記録簿多数あり/当時物純正工具セット付属/オリジナルホイールセット付属
長さ 476cm 174cm 高さ 141cm 重量 1640kg 排気量 2960cc
取材日2026年1月14日


↑↑↑上記アーカイブ動画、是非音声ありでご覧ください...。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
W124の匠とのご縁で機関良好を熟成させた300TEが存在した...。
13年間にわたり積み重ねられた膨大なメンテナンス記録が語るオーナー氏の想い、そして物語をも継承する一台...。1990年式 メルセデス・ベンツ W124 300TEは、時代を超えてエンスージアストを魅了するネオ・クラシックだった...!



第一章...
13年間のメンテナンス記録簿は圧巻...!フルオリジナルの前期型が語りはじめるストーリーとは...。


重厚で魅力的...、ドアの開閉音を聞くだけで思わず笑みが溢れるW124 300TE...。
圧縮される空気の動きを楽しみながら、良好な状態で現存するブラックレザーのシートに体を預けてみます...。
先代W123を20年以上、4台に渡って愛用してきた筆者にとっての最初の感動は、この前期型のW124の見事なまでに体に優しいシート形状...。それらが上質なレザーの質感と相まってクラシック・メルセデス好きを涙させるところから、今回の取材は始まりました...。


残念ながら...
車検が令和3年6月で切れていることから、素敵な佇まいのオーナー様別荘ガレージから出すことはできなかったのですが、定期的にエンジンをかけて大切に保管されてきた、この1990年式前期型のW124 300TEは、80年代後半のデザイン変遷から一気にモダナイズされ、洗練されたメータークラスターの印象を筆者の目の前で見せつけ、イグニッションをスタートした瞬間にオーナー様の大切にされてこられた想いと、この個体を熟知した匠メカニック氏との連携で熟成を重ねてきた、素敵なストーリーを語り始めたのでした...。


長年欧州の名車の数々を乗り継いで来られ、過激なスポーツモデルから上質セダンまで大変造詣の深いベテラン・オーナー様...。
この1990年式W124 300TEを手に入れるまで、まず「クルマ」ではなく、「W124に精通したメカニック」を探したと語ってくださいました...。
ネオ・クラシックなメルセデスを所有し、その本来の味をじっくり楽しむには、単にクルマを購入することではなく、誰に整備を任せるかという関係性がもっとも重要と、今までの経験則から考えられたのです...。


そして辿り着かれたのが、神奈川県のメルセデス専門ショップ「FACT」、そしてW124の匠とも言える小林氏との出会いでした...。
https://netlynx.sakura.ne.jp/fact/wp/


オーナー様はこのW124を購入する前に、小林氏へ相談し、「どんな個体を選ぶべきか」というアドバイスを受けられたそうです...。
その条件は実に明快なもので...、「左ハンドル、レザーシート、そしてサンルーフ付き...。」
この三つが揃っていれば、日本国内だけではなくドイツ本国や海外のエンスージアストの視点から見ても熟成さえ重ねれば、正当に価値が理解される個体になる...。
そんな小林氏のアドバイスを受け、オーナー様は良質な個体探しを始められたのでした...。


ご縁とはまさに不思議なもので、驚くことにその条件を満たす個体が、オーナー様の生活圏からわずか数百メートルという距離で見つかります...。
交渉を重ねて譲り受けられることになったオーナー様、条件を満たした上で良質な個体であったのですが、当時のこの300TEは、現在の端正な姿とは少し違っており、AMG風のバンパーが装着され、細部にもオリジナルとは異なる装飾が施されていたそうです...。


そこでオーナー様は、それらを一つ一つ純正へ丁寧に戻しながら、この前期型W124が本来持つ雰囲気へと入念に作業を始められます...。
フルオリジナルの正統性を重視し、W124 300TEの本質を大切に味わいたいという考え方が、この個体の現在の姿を作り上げたのでした...。


もう一つ...、この個体を語る上で欠かすことのできないものがあります...。
それが、オーナー様自らが記録され続けてきた13年間に及ぶ膨大なメンテナンス履歴...。
フューエルポンプ、エンジンマウント、ブレーキ周り、足回り、ATF交換、ヘッドのオーバーホールなどなど...。
W124に起こり得るトラブルをその都度理解しながら、予防整備を含めてアップグレードを繰り返し、本来の味が楽しめるようにと整備を重ねてきた履歴がここにしっかりと残されていました...。


まさにそれは欧州のエンスージアストが家族同然にクルマを大切に想い、時間を投資してアップグレードに熱中する様と全く同様のこと...。
オーナー様も13年間所有される中で時折トラブルに向き合い、積極的に楽しんで乗り越えられてこられたことが、このクルマとのストーリーになっているのが最も素敵な部分です...。


インタビュー中に色々お聞きした中で、とても印象的だったのは、かつて発生したアイドリング不調のエピソードでした...。
燃料系を疑い、インジェクターを交換し、それでも改善せず...。次に電気系統を疑い、さまざまな部品を確認しても症状は消えません...。最終的に原因として辿り着いたのは、バッテリーからのメインケーブルの劣化による電圧低下だったといいます...。
古いメルセデスを理解している人ほど、このお話に思わず頷かれる事でしょう...。


また、W124の定番トラブルとして知られる一本ワイパーのギア機構も、対策品であるアルミパーツへ交換済み...。純正の樹脂ギアは経年で必ず破損するため、長く乗るための対策として施された整備でした...。
この様に記録された整備履歴を一枚一枚拝見していると、この個体は一人の情熱を持ったオーナーと、一人のこのW124というクルマを知り尽くしたメカニックによって、育て熟成を重ねてきた個体であることを静かに伝えています...。


インタビュー終盤にオーナー様が語ってくださった言葉の中で、筆者の心に最も残ったのが、「この車、長距離を走っても全然疲れないんですよ...。」というお話しでした...。
ご友人と共に熊野古道まで往復およそ1200kmを走った時のこと...、「なんでこんなに疲れないんだろう...。」と、お二人して驚かれたそうです...。
その理由はシートはもちろん、ボディ剛性...、そしてエンジン特性...。W124がもたらす空気感とオーバークオリティさながらの機能が、絶妙なバランスで成立しているからなのでしょう...。
剛性溢れるボディに守られているような安心感がある、この年代にして生まれた特別なクルマ...。
それこそが、この時代のメルセデスが持っていた本当の価値だったのかもしれません...。


13年間の所有期間に渡って手を入れられた記録は、エクセル上でまとめられています...。
その整備記録簿から、概要を書き出してみると...。


2012年1月25日 178,000km
ETC取付
エンジンオイル交換
オイルフィルター交換

2012年1月28日 178,800km
エンジンマウント交換

2012年1月30日 179,166km
エンジンヘッド修理
ラジエター修理

2012年2月20日 179,863km
パワーステアリングフルード交換

2012年2月22日 180,000km
ホイールナット交換

2012年3月28日 182,422km
タイヤ交換
ワイパーブレード交換
フロントブレーキパッドセンサー交換
エンジンマウント交換
レゾネーター交換
エンジンオイル交換

2012年4月3日 182,554km
バッテリー交換

2012年6月11日 183,468km
エアクリーナー交換
ブレーキフルード交換

2012年7月21日 185,682km
フロント左右ブレーキパッド交換
リアブレーキパッド交換
フロントブレーキローター交換

2012年7月23日 185,770km
タイヤ組替
ホイールバランス調整

2012年9月1日 187,870km
タイロッドエンド交換
フロントハブベアリング交換
エンジンオイル交換
オイルフィルター交換

2012年9月6日 187,900km
フィルターハウジング交換
エンジンマウント交換

2012年9月12日 188,011km
リアマフラー交換

2012年9月15日 188,108km
エンジンオイル交換
エアコンガス補充

2012年9月22日
リアブレーキパッド交換

2012年12月3日 143,161km (メーター交換後)
エンジンオイル交換
オイルフィルター交換

2013年1月5日 144,500km
タイヤ交換

2013年4月12日 149,530km
ヘッドライトバルブ交換
ドライブベルト交換
エアコンガス補充

2013年5月19日 151,082km
エンジンオイル交換
オイルフィルター交換

2013年5月23日 151,126km
フューエルポンプ交換
エアコン修理

2013年6月3日 151,200km
フロントバンパー交換

2013年6月14日 151,384km
マフラーセンター修理
エアコンガス補充
シフトバルブ交換

2013年6月23日 154,143km
フューエルポンプ交換
リアショックアブソーバー交換
ドライブベルト交換

2013年6月23日 155,565km
フューエルフィルター交換
エンジンオイル交換

2013年9月30日 155,600km
ヒーターホース交換

2013年10月27日 157,075km
エンジンマウント交換
エンジンオイル交換

2014年1月29日 160,931km
エンジンオイル交換
オイルフィルター交換

2014年2月10日 160,950km
フロントブレーキパッド交換
リアブレーキパッド交換
ブレーキローター交換
フューエルポンプ交換
ATオイル交換
ATフィルター交換

2014年4月23日 163,791km
ATF交換
ATフィルター交換
ATオイルパンガスケット交換

2015年6月29日 182,379km
法定24ヶ月点検

メーター交換履歴
約190,000km時点でメータークラスター交換
現在走行距離 225,000kmが実走行


上記となります...。
時系列だと多岐にわたるので、機関別にまとめてみたのがこちらです...。


○エンジン関連
エンジンヘッド修理
エンジンヘッドオーバーホール
エンジンマウント交換(複数回)
ドライブベルト交換
ヒーターホース交換
エンジンオイル交換(複数回)
オイルフィルター交換(複数回)

○燃料系
フューエルポンプ交換(複数回)
フューエルフィルター交換

○吸気系
エアクリーナー交換

○冷却系
ラジエター修理

○点火・電装系
ヘッドライトバルブ交換
バッテリー交換

○ブレーキ系
フロントブレーキパッド交換
リアブレーキパッド交換
フロントブレーキローター交換
ブレーキパッドセンサー交換
ブレーキフルード交換

○足回り・サスペンション
フロントハブベアリング交換
リアショックアブソーバー交換
タイロッドエンド交換
リジットカラー追加

○排気系
レゾネーター交換
マフラーセンター修理
リアマフラー交換

○トランスミッション
ATオイル交換
ATフィルター交換
ATF交換
ATオイルパンガスケット交換
シフトバルブ交換

○空調系
エアコン修理
エアコンガス補充(複数回)

○その他
ETC取付
フロントバンパー交換
ホイールナット交換

○タイヤ関連
タイヤ交換
タイヤ組替
ホイールバランス調整


いかがでしょうか...。
上記の様にまさに全域に渡って、手が入っていることがわかる内容となっています...。


これほどまでに丁寧に記録され、そして必要な箇所へ確実に手が入れられてきたW124 300TE...。


本来の味そのものを楽しむのが、ネオ・クラシックを所有することの醍醐味...。買った瞬間が必ずしも完成ではないことをこれを読まれる方はよくご存知と思います...。
むしろそこからがスタートであり、手をかける時間そのものを積極的に楽しみ、徐々にクルマを理解し、理想とするステージへと育て上げながら、熟成を極めていくもの...。


今回取材させていただいたこの1990年式W124 300TEは、13年間という理想的な時間をオーナー様がじっくり楽しまれてきた個体であると言えるでしょう...。



第二章...
モダン・メルセデスデザインの巨匠、ブルーノ・サッコの究極の意匠...!
長く持つことを誇る最後のメルセデス・ベンツ...、W124の魅力をその歴史的系譜から読み解く...!


1980年代半ば、メルセデス・ベンツはブランドの設計思想そのものを大きく進化させる節目を迎えていました...。
その中心にいた人物こそ、1975年からダイムラー・ベンツのデザイン部門を統括したブルーノ・サッコ氏です...。


ブルーノ・サッコ氏はメルセデスのデザイン哲学について語る際、必ず一つの原則を掲げていました。
「新しいメルセデスは、古いメルセデスを古く見せてはならない...。」
この言葉は単なる造形思想ではなかったことでしょう...。
メルセデス・ベンツというブランドが持つ時間軸を守るための哲学であり、過去のモデルが価値を失わない形で次の世代を設計するという、極めて高度な設計思想でした。


その思想が最も純粋な形で具現化されたモデルが、1984年に登場したW124でした...。
W124の開発が始まった1970年代末、自動車設計は空力性能という時代の到来を迎え、大きな転換期となった頃のことです...。


燃費規制の強化と高速巡航性能の向上を両立させるため、各メーカーはボディ形状の見直しを迫られました...。従来の直立したセダンデザインではなく、空気抵抗を低減する流麗なボディ・デザインが求められるようになったのです...。
その結果として生まれたのがW124のあのボクシーでありながらも実に流麗なデザインの特徴...。
先代W123が持っていたクラシック・メルセデスの威厳を保ちながらも、空力と構造合理性を徹底的に追求したこのモデルは、当時としては非常に先進的なボディ設計を採用したものでした...。


W124の空気抵抗係数はCd値0.29という非常に優れたもの...。
1980年代のセダンとしては、もちろん極めて優秀な数値を生み出します...。
ボディサイドはフラットな面を繋いだ構成でまとめられ、特徴的なサイドモールは機能部品としてデザインに統合されています...。
またドアパネルのプレスラインは水平基調を保ちながら、ボディ全体の剛性感を視覚的にも表現する役割を担っていました...。


そしてW124を語る上で欠かすことのできない特徴が、「サッコプレート」と呼ばれるサイド・クラッディングです...!
これは単なる装飾ではなく、ドア下部を飛び石から保護する機能部品でありながら、ボディの視覚的重心を低く見せるデザイン要素としても機能していました...。
この様にブルーノ・サッコ氏のデザインは常に、装飾と機能を一体化させることで成立した見事なもので、W124の外観が控えめでありながら、圧倒的な完成度を持っている理由は、まさにこの思想に宿っています...。


そしてもう一つW124の本当の価値を語る上で欠かせないのが、外観デザインもさることながら、やはりその当時のエンジニアリング思想にあります...!
この世代のメルセデス・ベンツは、後年エンスージアストたちから"Over-Engineered Mercedes"
と呼ばれるもの...。これは直訳すれば「過剰設計のメルセデス...」という意味で、必要以上に頑丈で、必要以上に耐久性を持つクルマという意味です...。


W124のボディ構造は極めて高い剛性を持ち、クラッシュ安全性を考慮した多重構造が採用されています...。
サスペンション設計は長距離巡航時の安定性を最優先とし、速度域に関係なく安定した直進性を持つもので、メルセデス独自のマルチリンク・リアサスペンションが採用されました...。


それまでのセダンが採用していたセミ・トレーリング・アーム式とは異なり、路面追従性と直進安定性を大幅に向上させるこの構造は、後のメルセデスのサスペンション設計の基礎となる重要な技術でした...。


何よりもW124ステーションワゴンは、この設計思想をさらに徹底したモデルでした...。
多くのメーカーがセダンをベースに簡易的なワゴンを作っていた時代に、メルセデス・ベンツはワゴン専用の補強構造をボディに与え、リア・サスペンションには油圧レベライザーを用いた荷重変化に強い設計を採用しました...。
その結果として生まれたのが、長距離移動において驚くほど疲労の少ないワゴンという結果...。
今回取材したオーナー様が語っていただいた「長距離を走ってもまったく疲れない...」という言葉は、まさにこの設計思想を体感した感想だったのでしょう...。


搭載されるエンジンはメルセデスの名機として知られるM103直列6気筒エンジン...。
このエンジンは高回転での刺激的なパワーを求めるものではなく、低回転域から滑らかに立ち上がるトルクと、長時間巡航時の静粛性を重視した設計が特徴でした...。
鋳鉄ブロックを持つ堅牢な構造...、整備性を重視したシンプルなレイアウト...。
予防整備を含めて適切なメンテナンスさえ続ければ、非常に長寿命を誇るエンジンとして知られています...。


こうして振り返ると、W124というモデルは単なる一世代のメルセデスではありません...。
クラシックメルセデスの伝統と、近代メルセデスの技術が最も高い次元で融合した、メルセデス史の中でも極めて重要なモデルだったのです...。
そして現在、この世代のメルセデスは世界中のエンスージアストから"The Last Real Mercedes"
と呼ばれるようになりました...。
それは設計思想、素材、構造、耐久性のすべてが「長く持つこと」を前提としていた時代のメルセデスだったからでしょう...。


そうです...。
今回取材したこの1990年式300TEは、そうした設計思想を今なお体現している個体でした...。
13年間にわたり積み重ねられてきた整備履歴...。一人のオーナーと匠メカニックによって維持されてきた重厚なほどの履歴...。
それらの結果として、この個体は単なる旧車ではなく、時間をかけて熟成された一台となっているとクラシック・メルセデスをこよなく愛する一人として思えるのです...。



第三章...
後少しの情熱で最高の一台に...!1990年式 メルセデス・ベンツ W124 300TE 前期型 筆者の取材後記...


13年間という時間の中で、オーナー様が一つ一つの不具合と向き合い、しかもその過程には、FACT小林氏という、このモデルを深く理解する匠とのご関係があり、必要な箇所にしっかりと手を入れ、W124というモデルの本来の味を崩さぬよう慎重に熟成を重ねてこられた一台...、やはりとても魅力的な個体でした...。
一方で、取材を通して筆者が強く感じたのは、この個体にはまだ「完成の余白」が残されているということ...、そして、その余白こそが、次のオーナー様に託されるべき愉しみであり、タイトルに記した「あと少しの情熱」という言葉の意味でもあるのです...。


最初にお伝えすべきは、運転席ドアまわりの建て付けについてです...。
これは事故修復という類いのものではなく、マンションの立体駐車場に保管していた際、閉めたつもりだった運転席ドアが僅かに開いた状態のままリフトが上昇し、結果としてドアが持ち上げられるような形で損傷してしまったとのことでした...。
ドア自体は交換済みで、現在は開閉も可能...、走行に支障のある状態ではありません...。
ただし、完全な意味での修正にはヒンジ側、すなわちフロントピラー側の建て付け調整がなお必要であり、その点はこの個体の現在の課題として誠実にお伝えしておきます...。
オーナー様のお話では、ここをしっかりと追い込むための修理費用はおよそ20万円前後とのこと...。
裏を返せば、この個体に残された最も大きな宿題は、実のところこの一点であるとも言えるのです...。


次にマフラーです...。
リア側については補修済みとのことでしたが、現状ではセンター側のどこかに穴があるらしく、寒い時期の始動時などには、車体中央付近から排気が漏れる様子が確認できるとのご説明がありました...。
現状でも致命的な不具合として走行不能を招くものではないものの、やはりこの種のネオ・クラシックを本当に気持ち良く所有していくのであれば、排気音と抜けの質感を含めて見逃したくないところです...。
オーナー様によれば、センターとリアを含めた交換でおおよそ12万円前後を見込めばよいとのこと...。
これもまた、このクルマをさらに一段上の気持ち良さへと引き上げるための、最後のひと押しと言ってよいでしょう...。


そしてもう一点、細部として触れておきたいのがオートアンテナです...。
現状、この個体はオートアンテナが外された状態にあり、その点はオリジナルを愛する方にとって見逃せないポイントかもしれません...。
もっとも、これもまたW124全体の完成度を損なうような本質的問題ではなく、言うなれば「仕上げ」の領域に属する話です...。
ボディ、内装、機関、整備履歴というこの個体の根幹を成す価値がしっかりと残されているからこそ、こうした細部の復元は次のオーナー様の美意識に委ねられるべきテーマとして自然に受け止められるのではないでしょうか...。


筆者はこれまで多くの旧車、ネオ・クラシック、そして物語を背負った個体を見てきましたが、本当に魅力のある車というものは、不思議と「完全無欠」である必要がありません...。
むしろ、あと少しだけ手をかける余地が残されているからこそ、次のオーナー様がその車との関係を築き始める入口が生まれるのです...。
何もかも完璧に仕上がった完成品として受け取るのではなく、自分の手と感性と時間を注ぎ込みながら、最後の一歩を自らのものとして埋めていく...。
それこそが、ネオ・クラシックを所有することの本質的な歓びであり、このW124 300TEが次のオーナー様へ差し出している贈り物なのだと、筆者には思えてなりません...。


ドアの建て付けを整え、排気系をきちんと仕上げ、欠けているオートアンテナを復元する...。
その「あと少し」を惜しまず受け止めることができる方にとって、この個体はガレージの中の終わらない夢となっていくことでしょう...。
フルオリジナルの佇まい、良好なブラックレザーの室内、長距離を走っても疲れない設計思想、そしてM103直列6気筒がもたらすあの滑らかで重厚な感触...。
それらの本質がしっかりと残っているからこそ、この個体は今なお強く人を惹きつけます...。


そして、その魅力の核が失われていない以上、この300TEはあと少しの情熱によって、間違いなく「素晴らしい一台」へと昇華することでしょう...。
よって本稿タイトルを以下のようにした次第です...。


W124の匠とのご縁で機関良好を熟成させた300TEが存在した...。
13年間にわたり積み重ねられた膨大なメンテナンス記録が語るオーナー氏の想い、そして物語をも継承する一台...。1990年式 メルセデス・ベンツ W124 300TEは、時代を超えてエンスージアストを魅了するネオ・クラシックだった...!


W124という名車の本質を理解し、その設計思想に敬意を払い、必要な手間すら楽しみとして受け止められる方にこそ、この前期型300TEは最良の相棒となるはずです...。
そうしたエンスージアストの手に、この一台が継承されていくことを願ってやみません...。
是非最良の見学に群馬県までお越しください...。



個人間売買のため、消費税や諸費用等はかかりません。
本車両購入に際して自動車税の月割精算(年額¥58,600)並びにリサイクル預託金精算(¥15,650)はご購入者様にてご負担いただきます。


【お問い合わせに際して...】
このページの車両は、車の個人売買情報サイト「エンスーの杜」に掲載されたものです。
エンスーの杜は自動車販売店では無く、広告代理店であり、掲載車両は個人所有の物で、オーナー様のご依頼により取材を行ったものをFOR SALEとして掲載しています。

過去の整備記録や修理歴など含めて現オーナー様から詳細ヒアリングを実施、事故歴の有無含めて取材しております。大きな事故歴があった場合、また現オーナー様の所有歴が極端に短く詳細がわからない場合は取材をお断りし、購入されるお客様に可能な限り安心をお届けする工夫を実施しております。

本記事内容は、2026年1月14日晴天下13時より、約3時間の取材時間の中で、オーナー様インタビューしたものを元に執筆作成したものです。かぎられた時間での確認につき、現車の状態を100%正確に記載しているとは限らない場合があります。また執筆内容に関しても全て裏づけを取ったものでは無く状態等のコメントも、あくまで取材時の天候状況及び筆者の主観によるものという事ご承知おき下さい。

掲載車両に関してのご質問や現車確認のお申込はこのページの一番下よりご連絡下さい。なお個人間での取引となりますので、冷やかし防止のため、現車確認はあくまで「購入を前提」として検討されているお客様のみとさせて頂きます。

何卒宜しくご検討下さい。

以上の記事内容は、オーナーさんのコメントをもとに作成したものです。
整備履歴、修復歴などに関しては、エンスーの杜で裏づけを取ったものではありません。
230万円
画像クリックで拡大出来ます
1990年式 メルセデス・ベンツ W124 300TE 前期型
車検 現在車検切れ 走行225,000km(メータークラスター交換履歴あり・実走行記録あり)
車体番号 WDB1240901F185424 ・型式 E-124090 ・原動機の型式 103
M103直列6気筒エンジン ・ヤナセ正規輸入車 左ハンドル/AT
ボディカラー ブルーブラック(色替え無しオリジナル塗装)
現オーナー様13年所有 ・FACT(神奈川県)小林氏によるメンテナンス車両、オーナー様による整備記録(手記)あり ・整備記録簿多数あり
重厚なメルセデスグリルと角型ヘッドライトが前期型W124の威厳あるフロントフェイスを物語る
フロントには飛び石痕がみられる、オリジナルを重視してこのまま楽しむか美しく仕上げるかは次のオーナー様の最大の愉しみ
直線基調のフロントデザインがサッコ時代のメルセデスの造形哲学を静かに伝える
本格的に走り出す前にタイヤ交換はしたいところ
ブルーブラックのオリジナル塗装が残るボンネット、長年の時間が生み出す深い質感
前期型W124の視界の広さとブラックレザーインテリアの佇まいが感じられるフロントガラス越しの眺め
直線的な造形が美しいW124純正ドアミラー、サッコ時代の機能美を感じさせるディテール
ボディラインと一体化するドアミラーの造形がメルセデスの設計思想を静かに語る
現状の建て付けのままのドア閉イメージ、ここはしっかり治してあげたい
付属のルーフレールとガラスサンルーフがワゴンモデルならではの実用性と存在感を演出
鮮やかな発色を保つ純正テールレンズ、クラシックメルセデスの美しいリアデザイン
ワゴンボディの端正なリアビュー、W124ステーションワゴンの完成度の高さを感じさせる
リアバンパーとテールゲート周辺の重厚な造形がメルセデスらしい質感を物語る
本格的に走り出す前に排気系を整えてあげるのもこの個体を仕上げる楽しみの一つ
重厚なリアバンパーとテールゲートの造形がW124ワゴンの堅牢な設計思想を感じさせる
写真の様な小傷が見られる・・・。ヤナセステッカーがこの個体が正規輸入車である歴史を静かに物語る
オートアンテナは現在ついていない、エルフのステッカーで穴を埋めておられる
ブルーブラックのボディラインが美しく伸びるサイドビュー、直線基調の造形が際立つ
メルセデスらしいフェンダーラインが落ち着いた佇まいを演出する
前期型W124の象徴とも言えるシンプルで重厚なステアリングホイール
メータークラスター交換履歴あり、ほぼ同様の走行のものだが実走は225000km
ブラックレザーとウッドパネルが調和するW124らしいドアトリムデザイン
ウッドパネルとクラシカルな操作系が並ぶセンターコンソール、時代を感じる上質な空間
前期型W124特有の端正なダッシュボード造形がインテリア全体の質感を引き締める
端正なウッドパネルとブラックインテリアが前期型W124らしい落ち着いた室内空間を演出
シンプルで機能的なステアリングと計器類がメルセデスの設計思想を感じさせるコックピット
柔らかなブラックレザーが包み込む状態の良いフロントシート
座面も傷みは少なくレザーの質感が美しく残るドライバーズシート、長年大切に使われてきた雰囲気が伝わる
ナビシートも状態は良い、シートデザインはやはり秀逸
クラシックメルセデスらしいコックピット全景、ウッドとブラックレザーの調和が美しい
リアシートも使用感は少ない、長距離移動を想定した快適な設計
しっかりとした作り込みを感じるリアシートバックポケット、当時のメルセデス品質
広大なラゲッジスペースが広がるS124ワゴン、実用性と美しさを両立した設計
ワゴンならではの積載空間と端正な内装仕上げがこのモデルの魅力を物語る
広大なラゲッジスペースが広がるW124ワゴン、実用性とメルセデスの質実剛健な設計思想を感じさせる
当時物の純正工具セットがしっかり残るのも、この個体の丁寧な履歴を物語るポイント
3rdシート仕様の個体、使用感は全くない
W124の匠FACT小林氏によってメンテナンスされたM103直列6気筒エンジン
W124らしい整備性の高いエンジンレイアウト、長く付き合うことを前提にした設計思想
インシュレーターが綺麗に残るボンネット裏、当時のメルセデスの作り込みが感じられる部分
滑らかな回転フィールで知られるM103直列6気筒、ネオクラシックメルセデスの名機
メルセデスの象徴とも言えるエアクリーナーハウジング、往年の機械美を感じさせる造形
静かな森の別荘ガレージに佇む300TE、長年大切に保管されてきた雰囲気が伝わる
純正ホイールが1セット分付属する


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エンスーの杜 本部
TEL/070-6566-0829(ホリカワ)

またはEメール↓にて
エンスーの杜車両問い合わせ
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