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アルファロメオ 156 GTA 2002年式
車検 2026年8月 走行 79,800km 備考 左ハンドル/6MT/ディーラー車/複数オーナー/エアコン/ETC/ドラレコ
長さ 443cm 176cm 高さ 140cm 重量 1420kg 排気量 3170cc
取材日2026年3月18日


ー違和感への美しさー
V6Bussoを積むモデルは他にもある。 それでも、あえてGTAを選ぶ理由、そのひとつが違和感であろう。

本来GTAの名は軽さに与えられるもの。
削ぎ落とし、研ぎ澄まし、速さのために軽くあるべき存在。けれど、この個体はむしろ重さを背負っている。
果たして、それは矛盾か、あるいは時代の中で歪んだ答えか、いや、きっと違う。
そこにあるのは、軽さではなく感情の濃さを選んだ結果なのではないか。
なぜなら、その中心にあるのが、あのV6だから。

アクセルに力を込めた瞬間、重さを抱えたはずのボディが、快音とともに一気に解き放たれていく。
滑らかで、艶やかで、どこか少しの湿度を帯びた回転フィール。回せば回すほど、ただ速くなるのではなく、感情がそのまま音として立ち上がってくる。
そのフィーリングは軽さで切り裂くような速さではない。むしろその逆、わずかな重みと引き換えに手に入れた、密度の高い加速と、深く響く官能性である。
張り出したフェンダーも、路面に吸い付くようなスタンスも、回した時のV6の鼓動も、すべてが整いきったそれとは違う方向に振り切られている。
だからこそ、美しい。

理屈では説明しきれない、けれど確かに惹かれてしまう違和感。整っていないからこそ、それは記憶に残る。
ドイツ車のような緻密さや、寸分の狂いもない精度を求めるなら、ハッキリ言って選ばない方がいい。
代わりに手に入るのは、曖昧さや揺らぎさえも魅力に変えてしまう感性。触れるたび、走るたびに、少しずつ距離が縮まっていくような感覚。 完璧ではないからことの関係が、オーナーとクルマの間に生まれる。

精度ではなく、感情で選ぶ一台、
それが156 GTAの真髄であろう。

と、ここまでを述べれば、GTAは少し危うい、硬派なクルマに映るはず。
しかし、ここにもうひとつの美しき違和感があります。
それは、このGTAを所有するオーナー様です。
その意外性をお話しします。

このクルマを選んだのは、30代の女性オーナーです。
しかも小柄な方で、どちらかといえば柔らかな雰囲気をお持ちです。一見すると、この一台とは少し結びつかないようにも感じられます。
けれど、その似合わなさのようなものこそが、不思議と印象に残ります。

オーナー様がイタ車を初めて手にされたは25歳のとき、選んだのは左ハンドル、マニュアルのアバルト595でした。
可愛らしさ全開のチンクチェントではなく、あえてのアバルト。それは扱いやすさよりも、操る感覚を得たい、合理性よりも心が動くものを選ぶという軸は、その頃から変わっていません。
現在もその一台を日常の足として乗り続けています。

そんなイタ車への強い想いはお仕事にも。
好きが高じて過去にはフィアットのディーラーに勤めたこともあり、イタ車にどっぷりと浸かったライフスタイルでした。これらは周囲から見れば、少し意外な選択かもしれません。けれど、ご本人にとっては、ごく自然な流れだったのでしょう。
そして、さらにもう一台、イタ車ラインナップに迎えたのが、この156GTAでした。
156に行きついたのは、知人の方が乗っていたのもありますが、さらに鮮烈であったのが高速のPAで見かけた156の姿でした。以来そのフォルムが目に焼きつき、心がすっかり156に向いたそうです。
アバルト595との共存、しかし、同じイタ車とはいえ明かにキャラが違う。
もう1台のそれは、完璧に日常と切り離し、ただ走ることそのものを楽しむための存在として手にしたものでした。
この選択の中で最も惹かれたのはセダンというカタチ、そしてアルファの中でも特別な存在であることでした。

軽やかさではなく、重厚さ。 扱いやすさではなく、濃密さ。

その選択は、一般的な基準から見れば、もしかしたら少しだけズレているのかもしれません。
けれど、小柄でやわらかな佇まいの中にある揺るがない感性。
その静かな芯の強さがあるからこそ、このクルマの持つ濃さや重さとも、自然に調和しているように感じられます。
強さを主張するわけではなく、ただ、自分の感覚に正直であること。あふれ出す想いの在り方が、この一台の魅力と重なって、より深い印象を残しているのかもしれません。

次にクルマのコンデションと購入の経緯についてお話ししていきます。
2021年、走行距離約68,000kmの距離のこちらをディーラー中古車として購入しました。記録簿からは複数オーナーの履歴が確認できます。
基本的にはオリジナルの状態を保ちながら、フロントリップスポイラーの追加とホイールの変更が施されています。 このほんの少しのモディファイは、主張しすぎない、全体の雰囲気を崩さない仕上がりです。

外装は、艶やかで色褪せを感じさせない良好な塗装状態。それは平成30年7月に行われたボンネット、フロントフェンダー、ルーフの鈑金塗装によるもので、現在の美しいコンディションをしっかりと支えています。
数箇所に小傷が見受けられます。それでも、全体としての印象は非常に良好で、アルファロッソの鮮やかさは今なお健在です。
また同時期にヘッドライトの交換も行われており、フロントまわりには経年を感じさせないクリアな印象が保たれています。
現オーナー様は外装に一切手を入れていなようですので、現状は過去の手入れに依存していることが多いところから、大事にされてきたのが想像できます。

ADVAN製のホイールには、いくらかガリキズが見られました。
タイヤはミシュランパイロットスポーツ、山は十分にあります。
梅ホイールが4本ありますので、お付けいたします。ただ、このクルマから外したものではなく、また、これに履かせているタイヤは使えません。

内装について、年式相応の経年は感じられるものの、取り立てて目立つような傷みは見受けられません。各部にベタつきはなく、快適さが保たれています。
シートは、バケット形状の専用本革シート。身体を包み込むような造形と、見た目の上質さを兼ね備えています。
サイドサポート部には使用に伴うシワが見られますが、それは革という素材が重ねてきた時間の表情。年式を踏まえれば、しっかりとした状態を保っています。シートバックの電動調整もスムーズに動作し、最適なドラポジにするに不安はありません。

オーナー様がその形状を大変に気に入っているステアリングも、目立つ擦れはなく、良好なコンディション。手に触れるたび、その質感を感じていただけるはずです。
また、ドア内張りや天井に関しても、気になるダメージは見られず、空間全体としての印象を損なう部分はありません。
デザインされたインテリア、その落ち着いた佇まいは、このクルマの持つ時間とよく調和しています。

エンジンは基本的にオリジナルのスペックを維持しており、大きな変更は加えられていません。
一方で、マフラーはGTA用のユニコルセ製のものへと交換されています。こちらは購入時より装着されていたもので、純正マフラーは付属しておりません。
その音質はこのクルマのキャラクターとよく調和しており、エンジンの魅力をより引き立てています。

これまで機関系に大きなトラブルはなく、それに伴う修理歴も確認されておりません。これまで安定したコンディションが保たれてきたことがうかがえます。
気になるタイミングベルトについては、平成30年7月、走行距離57,883km時に交換された記録が残されています。その際にはウォーターポンプ、クランクシール、ヘッドガスケットといった主要部品も同時に交換されており、 しっかりと手を入れられていることが見て取れます。
記録から判断すると、こちらが直近の交換履歴と考えられ、今後の維持においても安心材料のひとつと言えるでしょう。
なお、これらの整備は過去のオーナーが行ったもので、他にも細かく内容が記載されたメモが残されています。

エアコンは問題なく効くそうです。

不具合はと言うと、運転席にあるパワーウインドウのスイッチの動きで、運転席から助手席の窓を開けると、今度は上がらなくなってしまうそうです。
間違って開けてしまった場合は、助手席のスイッチで上げます。また、寒冷時には運転席の窓も開閉できないそうですが、エンジンが暖まれば問題なく動作するそうです。

事故は現オーナー様ではありませんが、複数オーナー車のため、過去のものは明らかではありません。

取説、カードキー、数枚の記録簿があります。
なお、キーは1本のみ、スペアはありません。

保管は屋根下で、通気性のよいガレージです。

積雪のある地域ですが、冬は一切乗っていないそうです。よって塩カルによる影響は心配はありません。

では、ここからは筆者の独断試乗記です。
冒頭で触れた“違和感”を体感すべく、撮影場所まで助手席にて試乗させていただきました。
まず興味を抱いたのは、この小柄な女性オーナーが、軽さとは異なる方向性を持つ現代のGTAを、どのように操るのかという点でした。
シートをぐっと前に寄せた、女性らしいドライビングポジション。その姿勢のまま、実にスムースにこのクルマを扱っていく様子が、どこか新鮮に映ります。
そして、その横で感じるGTAの走りは、とても鮮烈でした。
乗り込んでまず目に入るのは、どこか彫刻のような造形美を感じさせるコクピットまわり。深くえぐり取られたようなグローブボックスのライン、控えめながら確かにドライバーへと向けられたセンターコンソール、そこに鎮座する3連メーター。
運転席の視線の先には、砲弾型のメーターが据えられ、内装からも“走り”への意識が静かに伝わってきます。

乗り込むと感じるのは、バケット形状のシートが包み込むというよりも、身体がすっと収まるような感覚。そこにはこのクルマが走るための道具であることを、自然と理解させてくれます。
アルファロメオ Busso V6エンジンは、アイドリングでは低音を鳴らしながらも、穏やかなウォームアップです。
しかし、ひとたびアクセルに力を込めると素早く反応、まるでスイッチが切り替わるかのように、滑らかに回転を高めていきます。
それは強烈な加速という表現よりも、あまりにもスムースで、トルクを伴ったどこまでも回っていくような感覚と表現したいフィーリングです。
そこに重なるのが、ユニコルセのマフラーが奏でるサウンド。加速と音がひとつに溶け合い、このクルマならではの一体感を生み出しています。

ここである考察をしてみました。
アルファロメオは「音がいい」とよく言われます。
確かに、その印象は間違いではないはずです。エンジンが奏でる音は、このブランドの大きな魅力のひとつです。
けれど、それだけで語ってしまうのは、どこか少しもったいないようにも感じます。
音だけが突出しているのではなく、乗り味や操作感、身体を包む空間、スタイリング、そしてスピリット。
そのすべてが重なり合い、ひとつの感覚として立ち上がってくる。だからこそ、それは単なる音の良さではなく、五感で受け取る体験として記憶に残っていく。
この156 GTAもまた、そのすべてがひとつに溶け合った瞬間をドライバーが感じたときに、アルファロメオははじめて本来の魅力を見せてくれるのではないでしょうか。

スペックでは語りきれない領域。
理屈ではなく、感覚に直接響いてくるもの。官能的という言葉を、これほど自然に体感できる時間はそう多くはないはずです。
オーナー様は過去には長野から九州までドライブに行ったことがあるそうで、その時間にずっと浸っていたい気持ちもわかるような気がします。
試乗の際にオーナー様の思わず漏れた「やっぱりいい」の言葉。それは決して筆者に向けたものではなく、心の声と受け取りました。

あらためて、このGTAの魅力をうかがうと、返ってきた言葉は、ただひとこと。
「かっこいいから」
その一言が、すべてを物語っているように感じられました。理屈、理論を超えた感覚こそがGTAの真骨頂と映りました。

結びは売却に至った経緯です。
それはライフスタイルの変化が、そのきっかけです。
キャンプを趣味とされており、日常の相棒であるアバルト 595に道具を積み込み、出かけるのだそうです。
ただ、それをこのアルファロメオ 156 GTAでとなると言わずもがな、さすがに現実的ではありません。そうなると、どうしても乗る機会は限られてしまう。
本来であれば、もっと走らせてあげたい一台。それにもかかわらず、その時間を十分に作ってあげられないことへの、どこか申し訳なさのような想い。その気持ちが、今回のご売却へとつながっています。
クルマを手放す理由としては、あっさりしているように見えるけれど、実はとても深いもののように感じられました。
次にこの一台を迎えられる方のもとで、再びじっくりと感覚を味わう時間が重ねられていくことを願っております。

違和感に惹かれるGTAは、長野県中信地域にあります。

個人間売買のため、消費税や諸費用等はかかりません。
本車両は購入に際しては、自動車税の月割りとリサイクル券(¥17,540)の精算ご負担をお願いいたします。

【お問い合わせに際して】
このページの車両は、クルマの個人売買情報サイト「エンスーの杜」に掲載されたものです。
エンスーの杜は自動車販売店では無く、広告代理店であり掲載車両は個人所有の物で、オーナー様のご依頼により取材を行ったものを掲載しています。
過去の整備記録や修理歴など含めて現オーナー様が把握している範囲でのコメントと事故歴の有無含めて取材しております。
この中にはオーナー様が知り得ない事柄もあり、またエンスーの杜でその裏付けをとったものではないため、コンディションや走行状況も担当者の主観によるものです。
本記事は2026年3月18日現在の状態を掲載しております。それから時間の経過とともに写真や記事の内容に変化が生じる場合がございますことをご承知おきください。

掲載車両に関してのご質問や現車確認のお申込はこのページの一番下よりご連絡下さい。なお、現車確認はあくまで「購入を前提」として検討されているお客様のみとさせて頂きます。

以上の記事内容は、オーナーさんのコメントをもとに作成したものです。
整備履歴、修復歴などに関しては、エンスーの杜で裏づけを取ったものではありません。
220万円
画像クリックで拡大出来ます
最も造形が際立つアングル
デザインの意図がダイレクトに伝わる
ラインのつながりを楽しむためのビュー
全体のプロポーションがすべてを決めるサイドビュー
後ろ姿にもデザインを語る
面とエッジの関係がよくわかる角度
リアフェンダーの造形はオーナー様のお気にりアングル
トランクフードに褪色はない
GTAの書体もイタ車らしい
再塗装されているボンネットフードも艶やか
ドアミラー、ドアノブもしっかりデザインされているのがわかる
塗装されたルーフもキレイ
ヘッドライトも非常にクリア
クリア剥げあり
薄れた塗装が戦歴の跡かのよう
タイヤサイズは前後とも225/45-17
アゴ下も大きなヒット痕はない
サイドシルも問題なし
冬は乗らないため塩カルの影響は受けていない
操作系を中心に組み上げられたコクピット
ステアリングの形状がオーナー様のヒットポイント
ドライバー基準で配置されているのがわかる
砲弾型のメーターナセル156の特徴
その気にさせる300/kmまで刻まれたスピードメーター
機能ごとに整理されたインターフェース
ドライバーの視線に合わせた配置、走りの中でもストレスなく確認できる
アルミ削り出しのペダルはMOMO製とのこと
選び取る6つのギア、自分で決める感覚が残る
シートポジションの繊細さと、このクルマの性能とのギャップが面白い
アルミ製のドアノブ、クスミはない
経年による表情の変化があるが、フォルムは崩れていない
BOSEツイーターを備えた内張は、細部までしっかり作り込まれている印象
自然な使用感が、むしろリアルな魅力になる
ドア下も問題なし
セダンだからこそのアングル
後席であっても手を抜かない作りは、より現実的な仕上がり
ここにも造形美がうかがえる
天井に傷みはない
スポーティーな空間に、少しの遊び心。このギャップが、この一台の魅力を引き立てる
熱を帯び、光を反射する6本のライン。エンジンルームに、確かな色気をつくる
かすれたステッカーに残る時間の痕跡
インシュレーターに傷みはない
走りだけじゃない現実性、カーペットもキレイ
スポーティな見た目に対して、扱いやすさもきちんと確保されているのがわかる開き方
スペアタイヤと工具が整然と収まるレイアウト。無駄のない配置に、機能美がそのまま現れている
CDチェンジャーの蓋に「CD」の刺繍。丁寧なのに、ちょっと遊んでる感じがいい
大きめのキズはここくらいか
取説、キーコードは保管されている
付属する梅ホイール
何気ないアングルに、すべてが詰まっている


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