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VOLVO 262C Bertone Coupe 1979年式
車検 2024年9月 走行65,719km(取材時表示) 備考 3AT 左ハンドル 帝人ボルボ正規輸入 ツーオーナー車 レストア済み車両
長さ 490cm 171cm 高さ 138cm 重量 1420kg 排気量 2660cc
取材日2021年7月8日

「スウェーデンの品質とイタリアンデザインがカロッツェリア内で高次元融合、熱きラテンの血が流れるボルボ初のハイエンドモデル「ボルボ 262C ベルトーネ・クーペ」は、一味違う実用ネオ・クラシックカー・・・!」

 

 

「贅沢なものは必要のないものだが、実用的なハイエンド・ボルボは世に必要なものである・・・。」

ボルボは創業当時より、その開発姿勢、安全性の追求、実用面での耐久性に大きな信頼が寄せられる非常に合理的なブランドと考えられていました・・・。

本日幸運にもご紹介できるネオ・クラシック・・・まさに探しても見つからない・・・出会いを待つしかない希少モデル、「ボルボ 262C ベルトーネ・クーペ」が誕生した背景もまた、このクルマの個性を語れるとても興味深いストーリーが存在します。

ハイエンドなラインナップに置いて、象徴的モデルであった「ボルボP1800」が1973年に生産中止になった直後、ボルボはフラッグシップモデルの役割を担う後継車の欠如に陥ります・・・。
当時のCEOであるペール・G・ユーレンハマーは、このことを問題視し、特にボルボの最大の輸出市場であるアメリカ向けにハイエンドモデル・高級クーペを用意することが重要と考えていたのです。

当時、ボルボのチーフデザイナーであったヤン・ウィルスゴーは、このボルボの新たなフラッグシップ・高級クーペのデザインの為にスケッチを作成しました。それをイタリア・トリノにあるイタリア人デザイナー、セルジオ・コッジョラのところに持ち込み、262Cの独創的なルーフラインを下げた2ドアクーペのデザインを生み出します。

一風変わったスタイル・・・時には「砲台の無い戦車」と揶揄までされ話題になった「ホットロッド・フォーマル」なルーフライン・・・。ボルボ初の高級クーペである262Cは、スウェーデンの品質とイタリアのデザインがカロッツェリア内で融合しイメージが完成したのです。

 

 

「ベルトーネ工房で極小ロット、ハンドメイド的に架装・製造されたスウエーデン品質・・・ボルボの新たなフラッグシップ・・・262C・ベルトーネ・クーペ」

 

 

1970年代のボルボは、それまでの工場内作業を改革するアイデアを持った最先端の企業でした。CEO・ペール・G・ユーレンハマーは、世界初の試みとして、生産効率を考慮した「各部門別組立新工場カルマル」の建設を実施します。
今では当たり前の光景ですが、完全分業制の工場内で車はステーションからステーションへと移動し組み上がって行きます・・・結果として欠陥や労働災害が減り、従業員の離職率も下がると考えたものでした。
当時最先端のスウエーデンのこの工場に対して世界中の自動車メーカーが興味を持ち、1970年代半ばには、ヘンリー・フォード2世を団長とするアメリカの実業家一行が視察に来たほどです。

ところが・・・

社運をかけて開発したボルボ初のラグジュアリークーペ・ボルボ262Cの「ニッチな製品を少数製造する」として取り組まれたプロジェクトは、この新しいボルボ工場の計画には合わなかったのです。

その結果、ボルボ262Cは、フロアパン、フェンダー、メカ、ドライブトレインをスウエーデンで制作した後、イタリアのベルトーネ工房へ送り、従来通りの手作業で組み立て作業、ボディの架装、塗装などを行い生産する手法が取られました。

こうして新たなフラッグシップ、ボルボ初の高級クーペである「262Cベルトーネ・クーペ」は、スウェーデンの品質にイタリアンブラッドが脈々と流れる、感性溢れる名車として誕生したのです・・・!

このボルボ初のハイエンドクーぺは、米国を中心としたニッチなマーケットへ投入、従来のハンドメイドにより年間800台という、ごく少量の生産計画でしたが、蓋を開けてみると・・・生産台数は予想の2倍以上に達し、1977年から5年間の期間に6,622台がボルボの質実剛健を求めるオーナーに渡り愛されたのでした。

その時からすでに40超年経過・・・。6622台の少量生産において、名実ともにエクスクルーシブなネオ・クラシックとなったボルボ262Cベルトーネ・クーペ・・・。まさに探しても見つからない・・・出会いを待つしかない希少モデルへ昇華したと感慨深く思う次第です・・・。

 

 

「状態の良い個体を受け継ぎレストアを実施、オーナー様の苦労ストーリーとは・・・!」

 

梅雨の晴れ間を狙って取材させて頂いたものの、生憎撮影時は小雨混じりのお天気・・・。筆者の目の前にシックに佇むオリジナル色、ミスティック・シルバーにビニールレザートップの希少車は、これぞ「実用車ボルボの真骨頂・・・」と言わんばかりに、雨混じりのお天気がとても似合う存在でした・・・。

外観上目を引くビニールレザートップのフォーマルなルーフは、6センチ近く車高を低められ、太いCピラーを併せ持ち、このクルマの存在感をグッと高めていますが、その結果生まれた、傾斜の強いフロントガラスと、フラットでコンパクトなリアとサイドのガラスが、実にユニークにこのクルマのアイデンティティをもの静かに語っています・・・。

歴代ドクターであったオーナー様が大切に保管した個体です。当時のオリジナルが色濃く残るブラックのインテリアに目を向けても、イタリア産の材料とセンスでボルボ初の高級クーペとして大幅にアップグレードされた様子がとても良く伺えます・・・。

上質なイタリア産手袋の様に、人肌に優しく柔らかいプリーツレザーが、人間工学に基づきデザインされたシート、ドアパネル、グラブハンドル、埋め込み式サンバイザー、ヘッドライナーなど、インテリア空間全てに使用され、実に素晴らしい豊潤な空気感を生み出しています・・・。

ブラックのレザーにアクセントカラーとして良く映えるウッドカラー・・・。職人工房でのハンドメイドが感じられる個性的意匠のドアパネルには、ニレ材の本杢が贅沢に使用され、当時のボルボの高級クーペ創造の意気込みが感じられ、今後この様に作られることはないであろう素晴らしい空間を創造しているのです。

この262Cのオーナー様は、とても味のあるクラシックなフランス車、ドイツ車を造詣深く、感性高く嗜まれるドクターです。お知り合いのドクターがワンオーナーで長らく所有なさっておられたこの262Cを、ご高齢で手放されるタイミングで数年前に譲り受けられます・・・。
その時点では暫く乗られていない状態でガレージ保存されていた車両だった為、日常使えるクルマとして復活させるべく、地元で信頼のおける工場に依頼されてのレストレーションが始まります・・・。

海外からパーツを取り寄せ、半年以上の時間をかけてこのレストア作業は実施されましたが、状態はよかったものの、暫く眠っていたクルマが動き出すまでの作業項目は概ね以下の通りです。

 

運転席・助手席ルーバー、足上げカバー脱着
グローブボックス脱着
オーディオ、オーディオカバー脱着
センターパネルスイッチ、ASSY脱着
ヒーターバルブワイヤー脱着
クライメートコントロール脱着
センタールーバー、ダッシュボード、ダッシュASSY脱着
エバポレーター、ヒーターコア、ブロアモーター、ファン脱着
ケース分解脱着
エバポレーター分解掃除
エアコンエキパン脱着掃除
エアコンベルト脱着交換
エアコンコンプレッサー脱着、内部洗浄
エアコンガス交換R134a対応
ヒーターコアハリソン特注制作、上下タンクパイプオーバーホール
ラジエーターアッパー・ロウワーホース脱着
ラジエーター洗浄
エンジンシリンダーブロック内部洗浄
ホースバンド交換、クーラント交換
リアブレーキキャリパー脱着オーバーオール
シリンダーホーニング
ブレーキパッド交換
燃料タンク新品交換
燃料計ユニット交換
燃料リフトポンプ・メインポンプ交換
フィルター・ホース交換
Oリング全交換
ATトランスミッション点検修理
オイルパン脱着
ミッションオイル交換
パッキン類全交換
バッテリー交換
油脂類全交換・・・などなど
(※以上概略説明です、詳細は記録簿が付属します)

 

上記のレストアが終了し、ようやく走れるようになったものの、次の試練がやってきます・・・。

それは、天井の細かな穴の開いたパンチング材から、走行中の振動で劣化した細かなスポンジの粉が舞い落ちると言う現象でした・・・。こちらは、他にお持ちのフランス車修理でお付き合いのある都内の専門業社様に依頼、穴の無い天井材を取寄せて、オリジナル同様のパンチング穴加工を別工場で施し、また戻してルーフ内張全体を張り替えたという、とても手の込んだレストレーションが実施されました。
またこの同じタイミングで、ビニールレザートップを除いたボディ全塗装を実施されておられます。

さらに前回車検時にも冷却系、パワーステアリング、シフトリンケージのブッシュ交換などを実施され、(※詳細記録簿あり)長い時間と忍耐の後、晴れて味わい深い走りが復活します。

 

 

「オーナー様のご好意で、助手席にて、この歴史のサバイバーの実に深い・・・実用的かつ味わいある豊かな走りをしばし堪能させて頂きました・・・。」

 

 

乾いたエキゾーストノートにラテンの血を感じるボルボ262Cベルトーネ・クーペは、フラッグシップモデルならではのパワフルな専用エンジンが搭載されます。この262Cにはプジョー・ルノー・ボルボの共同開発、PRV社製B27F・OHV・V型6気筒エンジンが搭載されました、このユニットは排気量2.7L、ボア×ストローク3.46×2.87インチ、圧縮比8.2:1の4メインベアリングエンジンで、最高出力127hp、最大トルク150lbs.ftという車格に十分なパワーを発揮、油圧式トルクコンバーターを備えたボルグ・ワーナー社製3速オートマチックトランスミッションを介して、このネオ・クラシックカーを実に豊かに、俊敏なクルーザーの様に現代の道を走らせるのです。

そのストロークが大きめの乗り心地は実にしなやか、オーナー様曰く、今の硬めの足になったボルボの足とは異なり、シトロエンのハイドロに近いしなやかさがあると仰います。また見切りの良いドライバーズビューは左ハンドルであっても安心して普段使いを可能としており、この車の魅力を存分に引出してドライブするのはとても素晴らしい時間という事を熱く語って頂いたのです・・・!

ゆったりとしたシートと、ストロークが大きく路面追従性が良いサスペンションで、仕上がった262Cの乗り心地はとても良く、長距離でも疲れ知らずでリラックス出来るのがとても気に入っておられます。フルサイズボディーながら小回りが効き、機敏に動く車体、また2.7L OHVエンジンは、特別早いと言う訳ではない物の、現代交通事情下でも全く問題なく、更にスピードに乗ると素晴らしい走りを堪能出来る・・・とお聞かせ頂き、この仕上がったボルボ262C・ベルトーネ・クーペを心底楽しんでおられるのがとても印象的な私の取材記だったのです・・・。

 

 

「取材後記・・・」

 

実に深い・・・味わいある大人の嗜みに溢れる名車の取材〜リサーチ〜執筆に心躍った体験をさせて頂けた事にオーナー様に感謝の念が尽きません・・・。オーナー様の車との向き合い方を通じて、改めて、しっかりとレストアが施された味わい深い名車を普段使い駆るのは、何とも味わい深い物と感じた次第です。

仕上がるプロセスを楽しみ、仕上った車を味わうものの、増え過ぎたガレージ内の車両の整理が必要との事で今回の出品依頼となったのですが、「是非デイリーユースとして普段存分に乗って頂けるお方に繋いでいきたい」・・・とおっしゃいます。

保存状態の良い個体をレストアし、深い味わいを存分に楽しめる所まで仕上がった
希少なネオ・クラシック・・・。一味も二味も異なるラテンの血が流れるボルボの真髄を是非味わってみてはいかがでしょうか。

是非見学にお越し下さい。造詣深いオーナー様のお話しはきっと同じ感性を持つお方同士、素晴らしい時間を共有頂ける事と思う次第です・・・。

 

 

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この大変素晴らしい「1979年式 ボルボ262C ベルトーネクーペ」は現在、茨城県にあります。

個人間売買のため消費税・諸費用等はかかりませんが、月割自動車税、リサイクル預託金のみご負担をお願い致します。また陸送等は購入者様の方でご手配をお願いいたします。

(お問い合わせに際して)
このページの車両は、車の個人売買の情報サイト「エンスーの杜」に掲載されたものです。エンスーの杜は自動車販売店では無く、広告代理店であり、掲載車両は個人所有の物でオーナー様の依頼により取材を行ったものをFOR SALEとして掲載しています。

記事内容は筆者が3時間程度の取材時間の中で、オーナー様のコメントと、見聞したものを元に作成したものですので、現車の状態を100%正確に記載しているとは限らない場合があり、記事内容に関しても全てエンスーの杜で裏づけを取ったものではありません。 状態等のコメントもあくまで取材時の状況及び取材担当者の主観によるものですので、月日が経過して写真や記事と異なる場合がある事をご承知おき下さい。

掲載車両に関してのご質問や現車確認のお申込はこのページの一番下よりご連絡下さい。なお個人間での取引となりますので、冷やかし防止のため、現車確認はあくまで購入を前提として検討されている方のみとさせて頂きます。

【更新】
日常的に使用しておりますので、距離は現在72,000kmに伸びています。

以上の記事内容は、オーナーさんのコメントをもとに作成したものです。
整備履歴、修復歴などに関しては、エンスーの杜で裏づけを取ったものではありません。
310万円→248万円
画像クリックで拡大出来ます
1979年式 VOLVO 262C Bertone Coupe
車検 令和4年9月 走行65719km取材時表示
3AT・左ハンドル・帝人ボルボ正規輸入ツーオーナー車・レストア済み車両
スウェーデンの品質とイタリアンデザインがカロッツェリア内で高次元融合した名車
熱きラテンの血が流れるボルボ初のハイエンドクーペ
ベルトーネ工房で仕上げられたスウエーデン車です
車体のサイズの割に小回りが利く、Uターンも容易とはオーナー様の談
ハンドリングがクイックで機敏性がある、後輪が粘るので雨天時、山道では不安が少ないとはオーナー様の談
デザインは直線基調であるが部分的に細やかなカーブを描くなど、ベルトーネデザインのこだわりを感じる・・・オーナー様談
耐候性の高いオリジナルのビニールレザートップは状態良し
低められたルーフとフロントウインドウシールドの傾斜がこの車の個性
太いCピラーに王家の紋章が入ります
コンパクトでフラットなサイド・リアウインドウ
大きく特徴的なリアコンビネーションランプはボルボ的
深く広大なトランクは実に実用的
2+2クーペモデルならではの大きく開くドアとサイドの意匠が潔い
フロントエンドで僅かにカーブを描くモールの意匠がベルトーネ的
オリジナルのアルミホイールを履く
ランプ類のコンディションも良好
ボルボならではのグリルの意匠は健在
北米の排気ガス規制をクリアした当時のバッジ
このショルダー部の意匠と、ウインドウ立ち上がりの組合せに、デザインの味わいを感じる
塗装コンディションは良好です
左ミラー側面の擦り跡
バンパーコーナー部の擦り跡
北米安全対策で大型化した5マイルバンパー
ラテン的乾いたサウンドを奏でるマフラー
下回りの印象もとても良い
年式相応にやれてはいるものの思いの外、各部が良い状態で保存されている
職人工房でのハンドメイドが感じられる個性的意匠のドアパネルには、ニレ材の本杢が贅沢に使用される。
人肌に優しく柔らかいプリーツレザーが、人間工学に基づきデザインされたシートなど全てに使用される
ゆったりとしたシートと、ストロークが大きく路面追従性が良いサスペンション
乗り心地はとても良く、長距離でも疲れ知らずでリラックス出来る・・・とはオーナー様談
オーディオがまさにカーステレオ、少々音割れするものの、反響効果がありとてもよいサウンドを響かせるとはオーナー様談
オリジナル同様パンチング穴加工が施された希少材でレストアされたルーフ内張
オリジナルで残る室内灯
オリジナルステアリングもスレは少なく良い状態
電装関係も今のところ不具合ないが、唯一カセットテープデッキが不動、AM/FMラジオは聴ける
古い左ハンドル車にありがちな右後方の安全確認がしやすく安心して運転できるとはオーナー様談
リアまで延長されるセンターコンソールとリア用アッシュトレイの意匠も味わいある
シートバックのレザーの状態は尚更良い
実にリラックス出来る高級イタリア製応接ソファの様なシート
スピードに乗るとよいテンポで走れる・・・とはオーナー様談
北欧の車らしくグローブしたままでも操作しやすいスイッチ類は健在
2.7L OHVエンジンは特別速いという訳では無いもののスタートでは現代でも遅れを取らないとはオーナー様談
オーバーホールされ機関良好なドライブトレイン
オリジナル性をよく保った個体
当時物の帝人ボルボトラベルセットが付属する
オリジナルホイールジャッキもケース付きで付属
オーナーズマニュアル、記録簿がファーストオーナー分から付属する


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