1696年に発売された国民車「スバル360」てんとう虫の愛称で慕われた車両の後継モデルとして1969年に発売された「R-2」
先代を基本としながらも居住性を確保し72年まで製造されました。
今回ご紹介するのはダミーグリルの付いた後期型「R-2GL」です。
R-2の魅力に取りつかれたたオーナー様、あれこれと気に入った車両を集めたのは良いのですが気が付けば部品取車も含めガレージを埋め尽くすほどになってしまい保管場所に困り手放す事にしたそうです。

 

＜ボディ＞
製造からおそらく大きな補修加修をされていないのではないかと思われるボディはオリジナル色のまま年齢を重ねています。
フロントグリルに埋め込まれたフォグランプは希少な仕様だそうです。
錆や傷、へこみは見受けられますが下回りにはしっかりとアンダーコートが施してあり機能上は問題ないと思われます。メッキ類にも経年に伴う劣化が見受けられます。
ウインドウモール類はまだまだ大丈夫です。R2のウイークポイントであるバッテリー下部に関しては例に漏れず腐食を経験しましたが現在は補修されています。
他には右フェンダーフロント部に補修の跡が見受けられます。

 

＜エンジン＆ミッション＞

空冷2気筒2ストロークエンジンをリアに搭載しています。ダイナモはオルタネーターに変換。セルモータもOHしてあります。
始動にはちょっとコツが必要なキャブレターですが暖気が済めば2ストロークエンジンの煙と音と匂いが今となってはレトロ感満載。まさに昭和の軽自動車です。
車検が切れているので試乗は出来ませんでしたがエンジンの音や吹け上がりに違和感は感じませんでした。ミッションは右下がリバースの4速マニュアルです。

 

＜足回り&下回り＞

下回りはアンダーコートがしっかり施工されており打ち傷、こすり傷は国民車として販売されて事もあり皆無ではありませんが大きなダメージになるほどではありません。アンダーコートもしっかりと施工されています。
足回りは145/80R10のヨコハマGTスペシャル。22年製造でまだヒゲが残っているほど走っていません。前輪部には当時のものであろう純正マッドガードが残っています。
取材当日は暫く動かしていなかったせいかブレーキ抜けがありました。エア抜きで直るとの事ですので車検所得時に整備をお願い致します。

＜内装・電装＞

運転席に座ると目の前の3連メーターが目を引きます。ルーフ内張は無くダッシュボードは中心付近に割れが確認出来ます。
簡素な内装で仕上げられた室内ですがＡＭラジオにシングルスピーカー、シガーライター、灰皿、チョークノブと最低限の快適装備は付いています。
空冷RRなのでヒーター関係のレバーはシート間にありますがこの辺はポルシェと同様なのでしょう。外気導入ベンチレータ開閉ノブは前方にあります。
着座すると前方や助手席との距離が近く、振り返ると近い場所にリアウィンドウがありあらためて車両の小ささを実感します。

 

 

＜付属品＞

当時物取扱説明書、車両一台分の部品(見学時に確認願います）レックス用エアコンユニット一式(用加工ですが装着可能だそうです）　

 

取材後記・・・

幼少の頃の記憶にはありましたが現車をまじまじと見るのが初めての車両でした。現代の軽自動車が普通車に思えるほど小さく装備もシンプルなことに驚かされました。
極上の車両とは言えませんが、2サイクル空冷2気筒、余計な装備も一切なく、まるで４輪バイクのようなイメージでした。
水冷ではないので構造がシンプル。エンジン他多数の部品が付属しますので購入後に色々と手を加えて遊ぶには面白い車両ではないかと思います。

 

 

 

車両は栃木県宇都宮市にあります。
個人のため、諸費用はかかりません。