●ケータハム スーパーセブン1600VTAにつきまして●
ケータハム社が1973年にロータス社からスーパーセブンに関わる製造・販売の権利を買取った以降も、エンジンはロータス社からツインカムユニットの供給を受け搭載していました。
ロータスツインカムユニットの製造は、1975年からエンジンチューナーで名を馳せたべガンチューン社に移管され1978年の打ち切りまで300台レベルを製造しました。その後のツインカムユニットニーズにはベカンチューン社がこれに応え、フォードケントユニットの225E型トールブロックに、オリジナル設計のシリンダーヘッドを組み合わせたべガンチューンタイプA (VTA) を開発し供給しました。1983年になると高性能で信頼性の高いコスワースBDRユニットが登場し、これを機にVTAはフェードアウトとなりました。
最終的にVTAユニットを搭載したケータハム スーパーセブンはわずか41台でした。
ちなみにこのVTAユニットは後にべガンチューン社がロータス・エランを模した車両「エバンテ140TC」を開発し、1987年から製造・販売した際に搭載されたとのことです。
●今回ご紹介するお車につきまして●
2004年にオーナーさんがスリーオーナー目の友人から譲り受けた希少なVTAユニットを搭載したケータハム スーパーセブンです。大型車両のメカニック経験のあるオーナーさんは、メンテナンスは車検及び機械加工等を除きDIYにて行い、サーキット等を走るというよりは、どちらかと言えばメンテナンス趣向で18年間大事に保有されてきたそうです。
その甲斐あって現在も好調を維持されております。現状、お車には全く不満のないオーナーさんですが、年齢のことも考えて未練はございますがそろそろ卒業すべきかとお考えになり、手放す決心をされたとのこと。同じご趣味をお持ちの方にお譲りできれば、とのことで掲載の運びとなりました。
●外装●
アルミをメインとするブラックとシルバーのボディは良好な状態を維持しています。細かな塗装のウキや飛び石はございますが、概ね良好な状態です。右フロントフェンダーに小さなヒビ割れがございます。もちろん走行に支障ないレベルの割れです。ドアミラーはメッキされたものに交換されています。事故修復歴はオーナーさんが把握されている限りではございませんが、唯一ゆっくりと背面タイヤを接触させた際にできたヘコミが背面タイヤ取付部にございます。ごく軽微なものでボディに支障はございません。
●内装、電装関係●
シートを始めとする内装も概ね良好な状態です。電装関係は耐久性や維持を考えて後述のとおり変更しております。
●機関、足廻り、
エンジンは後述のとおりオーバーホール済みで好調を維持しております。足廻りもしっかりしています。タイヤは走行距離が少ないため、まだヤマはございますが製造年考慮するとそろそろ交換時期かもしれません。なお、背面スペアタイヤには珍しい当時のグッドイヤー製のものが取り付けられています。
●オリジナルからの主な仕様変更・追加項目●
耐久性、安全性、利便性、メンテンス性等を考慮して下記の点を変更、追加しています。
(1) クーリング
・ラジエター容量アップ・レイアウト変更:フレーム内側→フレーム最前部(現行仕様ラジエターを現行車レイアウト化)、サーモケース、ホースレイアウト変更
・電動ファン仕様変更:プッシュ式→プル式に変更、・クーラントリザバータンク追加、
・エンジンオイルクーラー追加、・電動ファン強制ONスイッチ追加
(2) エンジン
・キャブレター口径アップ:φ40→φ45 インテークマニホールド内径合せ修正、
・オイルポンプハイキャパ化:油量増大仕様へ変更、
・サンプパン容量アップ:フォードケントオリジナル→現行容量アップタイプ、
・エンジンオイルキャッチタンク追加、
・ピストン2ndリング厚さ変更:補修用ピストンリング入手不可の為フォーミュラーフォード用部品に合わせピストン溝幅を加工t1.6→t2.0
(3)燃料系
・燃料タンク仕様変更:鉄製→アルミ製 内壁錆対策 同変更に合わせ燃圧計を加え、電磁ポンプを含め燃料ラインを一新
(4)エレクトリック関係
・ヒューズ方式変更(初期オーナー対応):ブレーカー方式→ブレード型ヒューズ方式、
・ストップランプS/W変更:油圧式→機械式、
・ダイナモ国産品化、Exマニホールド熱害対策:旧ミニ向けVALTAIN製部品、耐熱サーモバンテージ巻付、
・ディストリビューターフルトラ化:ルーメニション製 赤外線制御タイプ
・衝撃感知エンジンキル回路追加(スピート・タコメーター裏のスカットルパネルに装着):オールドミニインジェクション車の機械式Gセンサースイッチを流用し、イグニッション及び燃料電磁ポンプ電源をカットオフ。カットオフ時にはブザーが吹鳴。復帰はGセンサースイッチ上部を押し込むことで解除。
(5)外装関係:・ウインドサイドディフレクター、・ロールゲージ(純正オプション品)
●主な整備履歴の抜粋●
・2006年9月30日(28,464km):エンジンフルオーバーホール(シリンダーヘッド ヘアークラック補修・含浸処理ダイナミックバランス取り、ピストン・コンロッド重量合せ、燃焼室容積合せ、ピストンリングは補用品を入手出来ず現品を再使用)、
クラッチオーバーホール、T/Mセミオーバーホール、B/Gは未交換
・2009年9月21日(32,080km):ラジエター移設
・2014年5月5日(33,850km):フロントサスオーバーホール(S/G&ショック,各ブッシュ・カバー)
・2016年8月14日(34,656km):リヤサスオーバーホール(S/G&ショック,各ブッシュ)
・2019年12月7日(35,661km):エンジンセミオーバーホール (ブローバイ増加により未交換であったピストンリングを流用可能品に合せピストンの溝幅加工を行い交換)
・2020年1月5日(35,819km):燃料タンク他交換
・2021年3月2日(36,499km):ブレーキライン フルオーバーホール
※3オーナー(1996年23,360km)以降の詳細なメンテナンス記録簿がございますので、ご覧いただけます。
●オーナー様談話●
若い頃に接したシリーズ3の印象が鮮烈でいつか自分も所有してみたいと思っていました。
その夢がかなって実際に手に入れたから18年、まさに等身大プラモデルの感覚でDIYでのメンテナンスを楽しんできました。おかげさまで現在も好調を維持しております。まだ手を入れたいところもあり興味はつきませんが、年齢のことも考えてどこかで卒業しなければキリがない(笑)とのことで手放すことを決心いたしました。VTAユニットを搭載したケータハム スーパーセブンは大変貴重ですので、ご興味のある方にお譲りできればと考えています。
●取材者私見●
ご厚意でオーナーさんのご自宅近くの多摩川沿いを同乗走行させていただきました。ライトウェイトで風を感じながら走るまさにバイクにような感覚はスーパーセブンならではですね。
その走る楽しさが人気を不変のものとしているのかもしれません。エンジンも好調で気持ち良く吹け上がり、足廻りもしっかりしている様子でした。オーナーさんのガレージ(動画ご参照ください。)とお車について語っていらっしゃる様子からもとても大事にされてきたことが伝わってきました。お引き継ぎいただける方には、ボディーカバー、幌、ドア、トノーカバー 新・中古部品類、Part List他参考文献等 概ね60点の他、オイル缶、エンジンクレーン!までお付けいただけるとのことでした。お探しの方はぜひご検討ください。
コンディション維持のため、走行距離は若干伸びますことをご了承ください。
個人売買のため消費税はかかりません。リサイクル料金・自動車税月割分はオーナーさんのご厚意でご負担いただけるとのことです。
現車は東京都内にあります。
上記は限られた時間内での取材であり、かつ記載内容につきましては、取材者の私見に基づくところもございますので、ご購入に際しては必ず現車をご見学の上でご納得されてからご検討ください。
なお、お車の特性とオーナー様のお仕事の都合上、ご見学については購入検討の方のみに限らせていただきます。
冷やかし防止とスムーズなご連絡のため、お問い合わせの際は必ずお名前、ご住所、お電話番号をお知らせいただけますようお願いします。