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取材日2024年1月18日 |
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ルネ・ラリックのガラス・オブジェ“Victoire=勝利の女神”を手に「これだけはどうしても取り付けたかったんだよね・・・」とはこのドラージュ輸入直後のオーナー様の談・・・。 現代の様にクルマが移動のための道具である以前・・・1900年代初頭において自動車は所有する人も当然限られ、特にフランスにおいてはフランス革命以後も明確に残る一部貴族階級や役人・商人がファッショナブルに自己表現をする道具であった時代でした・・・。 モダンアートにも大変造詣の深いオーナー様・・・。過去の大変豊富な経験値をもとに、生涯乗りたいクルマに対して常にアンテナを張り巡らし、海外著名コレクターにより動体管理されている「1937年式ドラージュD6-70」が売りに出されている情報をいち早くキャッチされ、日本国内で公道走行ができる個体は現在まず無い、紛れもないミュージアム・ピースであることから、現地代理人への直接交渉〜直接輸入を敢行されました・・・。 ラジエーターキャップに取り付けられた“勝利の女神”が道先案内人の如く、淀みなく輝くラジエーターグリル頂上に鎮座するのは、「荘厳」の一言・・・。当時の車体の製造(コーチワーク)はすべて専門業者に依頼して、顧客はその容姿を競いあったのですが、完全オートクチュールで仕上げられたこのD6-70も1930年代当時イギリス東岸リンカンシャー・ボストンの街にあったコーチクラフト社により架装されたもので、ドラージュでは大変珍しく4枚ドアで架装されたボディは、内外装とも英国でフルレストアされたこともあり87年前の個体であることを一切感じさせない、まさに「アール・デコの象徴的イメージ・・・」を観る者全てに投げかけています・・・。 逆観音開きに開くドアを開けて室内に乗り込むと、そこには見事な空間美が存在・・・。フレンチ・ミニマリズム・デザインのマスタークラスに我を忘れるのです・・・! それではエンジンを始動してみましょう・・・! フロアから生えたレバーは、前進・後退を決めるもの・・・、スリーペダルですので現在の車同様にクラッチを踏み込み前進にギアを入れます・・・。発進準備ができたなら・・・、もう一度クラッチを踏み込み、今度は左手親指で操れる「コタール製電磁式4速ギアボックス」を操作しながら操るのです・・・! パワーステアリングなど当然無くとも、操作しやすいクラシックカーならではの大経ステアリングを操り・・・、左親指でコタール変速システムを操作し・・・、鼻先のラリック・マスコットを眺めつつ独特のオーラを振り撒きながらドラージュD6-70を操るのは「快感」の一言でしょう・・・。勿論、振り向き様に羨望の眼差しとして送られる、多くの視線に耐えられれば・・・のお話しです・・・。
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DELAGE(フランス語読みでドラージュ)は1905年、夢おおく若き企業家ルイ・ドラージュによってパリ近郊のルヴァロワ・ペレに設立された、フランスの高級自動車およびレーシングカー製作会社です・・・。 創業期は2台の旋盤と3人の従業員のみであった会社は、当時のブガッティやメルセデス・ベンツが参戦するGPレースへの積極的な参加と好成績で販売業績を伸ばし、創業から僅か7年後の1912年には350人の従業員が年間1000台以上の車を生産する会社にまで急成長を遂げました・・・。 必死に新たな挑戦を続けた1920年代初頭は、まさにドラージュにとっての「黄金時代」でした・・・。1923年には、DIシャシー、大型ホイールとタイヤ、ゼニス製キャブレター3基を備えたV12気筒10,688ccという当時230.52kmという陸上速度記録を樹立したヒルクライムカーが作られ、ガヨン峠のヒルクライムでコースレコードを更新するなどの実績を残し、その評判がヨーロッパ中に響き渡る程大きな話題を呼び、その後開発された新世代の6気筒車「D6」が登場すると、一気に主力商品に成長・・・!ドラージュ史上ベストセラーとなり大成功を収めたのです・・・! そしてこのD6誕生の7年後・・・。その進化版である「D6-70」が登場・・・。ライバル達が成し得なかったメカニカルな進化の数々として、近代的で軽量なシャシーに搭載された、実に生き生きとしたレスポンスの2.729cc直列6気筒エンジン・・・、スムーズなコタール社製電磁ギアボックス・・・、そしてベンディックス社製油圧ブレーキにより、D6-70はその美貌だけにとどまらず、当時としては卓越したドライバビリティを持つ車となりました・・・。 順風満帆な成長を遂げたドラージュでしたが、1929年の世界恐慌の煽りを受けた経済危機の反動が訪れ、世界中の高級車メーカーが販売不振に苦しんだ中ではドラージュも例外では無く、会社の商業的、財政的状況は大きく揺らぐことになってしまいます・・・。 数奇な運命を辿ったドラージュでしたが、第二次対戦後の1948年には、2リッターを超えるエンジンを搭載した車をターゲットにした自動車税が引き上げられ、戦後のフランス国内不況と相まって、高級車メーカーにとっては非常に厳しい市場となり、ドラージュは1954年にドライエと共にオチキスに吸収され、自動車製造に幕を降ろしたのでした・・・。 しかしながら・・・、「レースフィールドで得た技術を取り入れた、素晴らしくパワフルで魅力的なクルマ・・・」というDNAは決して消失してしまうことなく、65年後の2019年には企業家ローラン・タピー氏により「ドラージュ・オートモービル社」が再始動され、「ドラージュD12」が発表されました・・・。
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1930年代アールデコ・デザインの最高峰こそまさにドラージュ・・・。この「D6-70」はまさにその代表的な一台です・・・。 この当時イギリスからオーダーが入った特別な一台は、1937年英国でのお披露目の際にアールズコート・モーターショーでドラージュのブースに展示された一台でもあり、フランスの“Les Grandes Routières - France's Classic Grand Tourers”という本の題材にもなった一台です・・・。また車両に当時のコピーが付属しますが、1938年には英国著名自動車誌「ザ・モーター」誌のレビュー対象車にもなった経緯があります・・・。 2729cc OHV直列6気筒エンジンを搭載したこのD6-70は、英国レストア時の計測で80hpの出力を計測しており、入念なレストアが実施されたコタール社製電磁ギアボックスと相待って、その流麗荘厳なルックスに十分見合うパフォーマンスを備えています・・・。 英国でレストアされたインテリアは、アールデコ期のフレンチ・ミニマリズム・デザインをイメージし入念に当時らしさを復元・・・。気を衒う派手さを一切感じさせないまでも、極限までスタイリッシュなインテリアに、アールデコ期のゴージャス感を感じ取ることができる空間に仕立て上げてあります・・・! これも張り替えられたカーペットはルージュ・レザーと品良くマッチしており、とても良い状態で残っています・・・。また、天井内張もレストア済みとなっており、87年前のクルマとはイメージがつかない程とても清潔感があるものです・・・。メーターパネルにはイエーガー製・メーターを備えたマホガニー材による木目の細かいダッシュボードが貼られています・・・。1930年代のオリジナルであるこのアール・デコ期のビンテージ計器類は、当時に使われたフォントが美しく、見ているだけで魅了されるものです・・・! このドラージュD6-70ほどエレガントなクラシック・スポーツ・サルーンは存在しない事でしょう・・・! 1997年に英国で再塗装されたエクステリアは全体的に素晴らしいコンディションで、傷はほとんど見当りません・・・。クロームメッキも同様に素晴らしく、バンパー、ランプ類、トリム、ラジエターまわりなどすべて非常に良い状態です・・・。ランプ類のガラスレンズもクリアで明るく、大きなグリルの上部には七宝焼による鮮やかなブルーのデラージュ・バッジがそのまま残っています・・・! また2023年国内輸入車検取得時〜現在までに、4輪油圧式ドラムブレーキのオーバーホール・・・、スターターモーターのブラシ交換〜リビルト・・・、それまで始動時に手動式であった燃料ポンプの電磁ポンプ化・・・、電圧を安定させて十分な充電を可能とする為のダイナモ改めオルタネーター化・・・、万が一の際に外出先から帰還できるように12Vバッテリーのツイン化・・・、ウインカー制作・・・、日本の車検用光軸確保の為のヘッドライト交換などを行なっており、現時点では当時物オリジナルのライトが取り付けられていますが、別途付属の車検用ライトに交換して光軸調整すれば難なく車検をパスできる様になっています・・・。また当時物オリジナルのセマフォー式ウインカーは、国内車検に適応しない為、現時点で動作はしないようになっています・・・。 英国からの輸入時に添付された膨大な量のヒストリー・ファイルには、1990年代以降のパーツ交換履歴や整備請求書が豊富に含まれており、この個体がどのような経緯を歩んできたかが明確に判明する様になっています・・・。 この内外装ともに素晴らしく、非常に興味深い初期の歴史を抱合した、まさにミュージアム・ピースである1937年式ドラージュD6-70は、「実走できるアールデコの象徴」としてオーナー様の感性を常に刺激し、至高のドライバビリティを与え、どこへ行っても賞賛のまなざしを集めずにはおかれないことでしょう・・・。
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まさにミュージアム・ピースな1937年式デラージュD6-70・・・、当時としては破格の豪華さを誇った、現存するアールデコ期の遺産です・・・。 「最近の電気自動車よりもスムーズだよ〜本当に調子良いよね〜」とは動画撮影中のオーナー様の一言・・・。 感性を豊かにしてくれるクラシックカーこそ、オーナー様のご趣味であると同時に「生き方そのものを表現できる道具」として大切にされるお方です・・・。 「せっかく直接輸入までされて調子良く乗れるようになった一台をなぜ手放されるのですか・・・?」との筆者の問いに「嫌になったから、調子が悪いから手放すのでは無く、今がとても良い状態だからこそ、次の方に繋いで後世に残して欲しいんだよね・・・。」と大変穏やかにお話し頂きました・・・。 「流麗荘厳なオートクチュールボディが、完全機能のコタール製エレクトロ・マグネティック・ギアボックスで優雅に街中を走り抜ける・・・!ポール・ニューマン・コレクションから直接輸入された1937年式ドラージュD6-70は英国〜国内で入念なレストアを受け、完全動体コレクションとして観る者を惹きつける一台だった・・・!」 是非至高のアールデコ実走車見学に愛知県名古屋市までお越しください。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 個人間売買のため、消費税や諸費用等はかかりません。 【お問い合わせに際して・・・】 本車両はオーナー様のご意向により、弊社法人業務である「クラシックカー直接輸入業務」により筆者が現地コレクター様代理人と交渉を進め、コンテナ手配〜海上保険加入〜通関〜デバンニング〜陸送〜提携工場にて車検取得〜オーナー様への納品業務を進めた個体です・・・。 よって本記事内容は、2024年1月18日木曜日午前10時より、晴天の元、約3時間の取材時間の中で、オーナー様へのインタビューと、弊社にて輸入時の情報〜提携工場で整備〜群馬県陸運局にて車検取得時試乗体験したものを元に執筆作成したものです。状態等のコメントについてはクラシックカー〜アート好き筆者の主観によるものが大きいという事もご承知おき下さい。 掲載車両に関してのご質問や現車確認のお申込はこのページの一番下よりご連絡下さい。なお個人間での取引となりますので、冷やかし防止のため、現車確認はあくまで「購入を前提」として検討されているお客様のみとさせて頂きます。 何卒宜しくご検討下さい。 |
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以上の記事内容は、オーナーさんのコメントをもとに作成したものです。 整備履歴、修復歴などに関しては、エンスーの杜で裏づけを取ったものではありません。 |
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1880万円 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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