1980年代後半、日産は1990年代までに技術世界一を目指すというスローガンのもと、ハンドリング最優先思想で技術開発に力を注いでいました。その集大成と言えるモデルが、1989年に登場した8代目のスカイラインとなるR32型です。
7代目をダウンサイジングしてコンパクト化したスタイリングは、軽量で取り回しも軽快。
振動が少なく、高回転までスムーズに回る直列6気筒エンジンの素晴らしさだけに留まらず、車自体の完成度も高く、足回りには前後マルチリンク式サスペンションを採用。ステアリング操作に対する精度感が高く、スポーティカーにありがちなゴツゴツさの無いしなやかで懐の深い足回りとなるなど、ハンドリングも上質なものとなり、国産最良のスポーツセダンとして歴代スカイラインの中でも極めて評価が高く、今でも高い人気を誇っています。
今回ご紹介する「GTS-t TypeM」は、GT-Rを除けば最もスポーティなモデルであり、215馬力の最高出力を発生する2.0リッター直列6気筒ガソリン・ターボ(RB20DET)を搭載したハイパフォーマンスモデルですが、それを更に280馬力程度にチューンし、外観もGT-R仕様にされたものです。
30年前からタイムスリップしてきたかのような・・・と言えば言い過ぎですが、そう言いたくなるくらい程度の良いお車です。
スポーティ故に荒く乗られたものが多いR32でこのクオリティのお車はなかなか出てこないと思いますので、とにかく程度が良いものを・・とお探しの方は是非押さえておくべき一台だと思います。
【外装】
アルミ製のボンネットとリアトランク、リアスポイラーなどGT-Rのパーツを装着されており、リアフェンダーの拡大こそ無いものの、見事にGT-R仕様になっています。
R32 GT-Rのイメージカラーでもある渋いガングレーメタリックのボディは非常に綺麗で、さすがに新車同様とまでは言いませんが、30年以上前の車とは思えない程度の良さです。フロントバンパーに小さな飛び石傷が少しあること、右フロントタイヤ上部のフェンダーに擦れとタッチアップ跡があるくらいで、その他、特筆するような欠点は見つけることができませんでした。
ニスモのアルミホイールは、1本のみ薄いガリ傷がありましたが、その他大きな傷はなく、こちらも綺麗な状態です。いずれも画像にてご確認下さい。
ガラスモールを始め、ドアのウェザーストリップやモールなども新品に交換されており、全体として素晴らしいコンディションで、これだけ奇麗なR32はなかなか無いと思います。特にフロント及びリアのガラスモールの純正部品は高額で、交換時にサビ取りも同時に施行しており、R32の泣き所にも対処されています。
私の個人的な好みも入りますが、非常に魅力的だと感じました。
【内装】
内装も綺麗にされており、MOMOステアリング、シフトレバー、シフトブーツ、エアコン吹き出し口、ドアインナーハンドルも新品に交換されているためとても綺麗です。目立つ傷や汚れもほとんど無いのですが、R32によくある経年劣化のようで、ダッシュボードの助手席前部と運転席左側追加メーターの後部付近に少し浮いたところがありました。これは、ヒートガンで熱して直す方法もあるようです。
その他、気が付いた点としては、運転席シートの助手席側にあるランバーサポートのレバーが無くなっていました。
古い輸入車だと樹脂部分の割れ、変形、べたつき、ゴム類がボロボロになってくるなど、樹脂・ゴムの劣化が目立ちますが、そういう残念な劣化が少ないところは国産車の優秀なところだと思います。
シートは乗り心地を考えて元から純正シートを使われております。
【機関】
機関も快調で、不具合箇所も無く、所有されている間にトラブルは1度も無かったとのことです。
試乗もさせていただきましたが、エンジンは280馬力程度にはなっているそうで、確かにノーマルとは比べ物にならないくらいパワーが上がっています。もっとパワーを上げることも可能だそうですが、耐久性を考慮してこれくらいで抑えているとのことです。
エンジンはスムーズで吹け上りがとても良く、力強くかつ気持ち良く上まで回りますし、その際の異音などもありません。BMWもそうですが、直6エンジンは本当に魅力的だなとつくづく思わされました。
GTS-t TypeMの車重はGT-Rよりも120Kg程度軽量で、さらにこのお車はGT-R純正のアルミ製ボンネットとリアトランクに交換することでより軽快感が増し、小排気量ということもあるのでしょうが吹け上りが凄く良いという印象でした。
サスペンションはCUSCOの車高調を装着されていますが、車の痛みや乗り心地を考えて軟らかめに設定されております。また、LSDはNismo GT-LSD Proをインストールし、トラクションコントロールに長けています。エンジンはハイパワーにチューンされていますが、シートは純正のままですし、オーナー様は走り屋のような荒い走りはされないとのことで、お車を非常に大切にされていることが伝わってきます。
使用状況ですが、基本的にはコレクション的所有というのか、日常的な使用はされておりません。普段は屋根付き車庫に入れ、更にカバーをかけられて保管されているそうです。ただし、コンディション維持のために晴天の日を選んで1〜2週間に一度は乗られているとのことで、雨天の日は乗らないとのことです。
【後付けパーツ】
オーナー様がまとめて下さっていますので、そのまま記載いたします。
(1)外装
・BNR32 純正アルミボンネット(ニスモ・フードトップモール付)
・BNR32 純正アルミトランク(純正リアウイング付)
・Purple speed フロントバンパー(樹脂製)
・GTS-t 純正サイドステップ
・GTS-t 純正リアマッドガード
・Nismo タワーバー(前後)
・カーボンバンパーガード(マフラー上部)
(2)内装
・Nismo フロアマット
・ハンドル:MOMO RACE 35Φ
(3)吸排気系
・HR34純正タービン
・Nismo 強化燃料ポンプ
・BLITZ EVC(ブーストコントローラー)
・HKS パワーフロー(エアクリーナー)
・BLITZ 大型ラジエター、ローテンプサーモスタット
・BLITZ 水温計
・TRUST インタークーラー(ZS)
・フロントパイプ(メーカー不明)
・スポーツマフラー(メーカー不明)、脱着サイレンサー付
(4)駆動系
・Nismo GT-LSD Pro(イニシャルトルク3段階調整可能)
・CUSCO 車高調キット ストリートゼロA(40段調整)
・ORC 強化クラッチ
・Fr:CUSCO・アッパーアーム
・Fr:ニスモ・ロアアーム(HR34用)
・イケアフォーミュラ・強化タイロッド、テンションロッド
・ハイキャスキャンセルロッド
(5)ホイール・タイヤ関係
・Nismo LMGT4 7.5J R17×4本
・ブリジストン POTENZA Adrenalin RE004(225/45R17)2022年7月装着
・Nismo ホイールナット
・Nismo エアバルブ
(6)社外セキュリティ
・ドアセンサー、ボンネットセンサー、ショックセンサー、キーレス機能、ハザードアンサーバック機能付き
(7)リペア箇所
●塗装
・ルーフ
・リアフェンダー
・フロントバンパー
・フロントダクト
・リアスポイラー
・両アウトサイドハンドル
・左ドアミラー
・エンジンヘッドカバー塗装(オレンジ)
・ブレーキキャリパー:シルバー塗装
●外装
・フロントガラスモール 純正新品交換
・リアガラスモール 純正新品交換
・ドア上部リペアモール 田中オートサービス製 新品交換
・ドアベルトモール 純正新品交換
・リアスポイラースペーサー 純正新品交換
・バックランプレンズ 純正新品交換
・ボンネットワイヤー 純正新品交換
・タワーバー磨き
●内装
・ウェザーストリップ(ドア側) 純正新品交換
・ウェザーストリップ(ボディ側) 純正新品交換
・ドアガラスインサイドリップモール 純正新品交換
・ボディーサイドウェルト 純正新品交換
・リアピラートリム 純正新品交換
・エアコン吹き出し口 純正新品交換
・インナーハンドル 純正新品交換
・ドアストライカー 純正新品交換
・シフトブーツ 純正新品交換
・サイドブレーキブーツ(BNR32)(黒)アクティブ製 新品交換
【整備履歴】
整備やメンテナンスの記録は几帳面なオーナー様がまとめられているものを画像の最後に載せています。スマホ画面だと小さくて見づらいと思いますので可能であればパソコンにてご確認下さい。
【取材担当者からの一言】
オーナー様の性格でしょうが、細やかに気を使われてお車を維持されていることがわかりますし、お車への愛情も伝わってきます。
後付けパーツも装着から経年・走行距離が短いものが多く、リフレッシュされた状態だとも言えますので、嗜好が合えばビビビッと心に響くものがあるのではないでしょうか。
一つお伝えしておきたいことは、このように後付けパーツが多いお車の場合はそれなりに荒く使われてきた車両が多く、程度の良い車は少ないのですが、このお車に関してはオーナー様が非常に大切にされており、そのような車両とは一線を画しているということです。
乗り荒れていない、程度が良いお車ですので、大切に今のコンディションを維持していただける方に所有していただきたい一台です。
実車は熊本県にあります。
個人売買の為、消費税などかかりません。
リサイクル委託料金、自動車税(月割り)がある場合は別途頂戴いたします。
以上の記事内容は、オーナーさんのコメントと取材をもとに作成したもので、わかる欠点なども含めて記事を作成しておりますが、不具合箇所、整備履歴、修復歴などに関して取材時に完全に把握することはできませんし、エンスーの杜で裏づけを取ったものではありません。エンスーの杜より無理に購入を勧めることはございませんので、最終的にはご自身でご確認の上、購入をお決め下さい。