●ダットサン ブルーバード(P312)につきまして●
1959年より市販された初代ブルーバード(310型系)は実用性の高さと先進的機構、戦略的な価格設定で人気となりました。その後さらに改良が加えられ、1960年にマイナーチェンジしてエンジンの出力アップやミッションのフルシンクロ化を実施した、311型系に、
1961年には2度目のマイナーチェンジで内外装の意匠を変更した312型系へと移行しました。1925年に英国オースチン社との技術提携を結びノックダウン生産を通して技術を習得していった当時の日産らしくオースチン・ミニ等を思わせるキュートな外観が特徴的です。
●今回ご紹介するお車につきまして●
オーナーさんが20年程前に専門店より手に入れられ、コツコツと手を入れてれきたアイボリーのボディがキュートな初代ブルーバード(P312)です。なんとオーナーさんにとってのファーストカーとのことです。もちろん経年劣化している箇所はございますが、車検以外はほぼDIYでメンテされており、とても60年を経過しているとは思えないコンディションを維持されています。オーナーさんがお聞きになっている限りでは事故歴はないとのことです。
●外装●
ホワイトの外装は良好なコンディションです。過去のリペイント歴は不明ですが所々に塗装のウキやワレは散見され、タッチアップ箇所も多数あります。オーナーさんが所有されてから一度家屋の屋根に積もった雪がトランクに落下してヘコミができたためDIYにて補修されています。各ホイールアーチ後方側に腐食があります。外装の細かい状態は画像では再現しきれない部分もございますので、現車をご覧いただければと存じます。普段はご自宅の舗装された駐車場にオーダーメイドの専用カバーをかけて保管されています。ただしカバーはほつれが出ていて寿命が近いので、おまけ程度に考えてくださいとのことです。
●内装、電装関係●
明るいベージュとライトブラウンのツートンの内装は綺麗にレストアされています。なんと前後シート、ドア内張、カーペット類はすべてオーナーさんのDIYによる張り替えとのこと。
カーペット下の床面にサビがありますが、現オーナーさん購入段階で軽い雨漏りがあったためのようで、雨漏りは前後ウィンドウ周囲にDIYでコーキングを行い完治したとのことです。
劣化の少ない鉄製のダッシュボードやセンターコンソール廻りもきれいな状態を維持されています。残念ながら天井ライニングに一部大きな破れがありまだ手つかずの状況です。純正ステアリングの樹脂部分にクラックがありますが、スチール芯が通っており操作上も車検上も問題ないとのことです。またウインカーレバーの右側ディテント(引っ掛かり)が甘いので慣れが必要とのことです。
エアコンは搭載されておらずヒーターのみです。夏場は三角窓で風を入れる当時の設計です。純正のAMラジオと時計も作動しますが、時計は遅れるので配線を外しているとのことです。なおオーディオは社外のFMチューナー+CDプレイヤーもさりげなく目立たない位置に追加してあります。
他にUSB電源新設、ナビ用スマホホルダ自作、ハザードスイッチ新設&ウインカーのリレー化(配線自作)、ヘッドライトのリレー化(配線自作)で利便性を高めてあります。なお、プラスアースのため電送品追加の際には、絶縁をしっかり行うなど注意が必要とのことでした。
●機関、足回り等●
エンジンは前オーナーさん所有時にオリジナルと同型式のブルーバード410用のE1型エンジンに載せ替え済みです。始動も問題なく自走も可能なコンディションですがパーコレーションの傾向があり長距離走行ではやや不安がある状態とのことです。シリンダーヘッド等からのオイル滲みは確認できます。
その他気になる点としてはやや排気漏れがある点と燃焼計が時々正常に作動しない点です。
同乗走行させていただきましたがセミモノコックとラダーフレームを組み合わせたボディ剛性と相俟って足回りはしっかりしている印象でした。アイドリングや加速も問題なくシフトチェンジも問題ないようでした。高速道路では115km/h程度まで出せるが、足元が熱くなってくるため(笑)、90km/h程度で走るのが無難、とのことでした。足元は純正スチールホイールにリボンタイヤにホワイトリボンタイヤが組み合わされています。ホイールキャップは純正でなく、おそらく商用車のダットサン320系用とのことです。タイヤは走行距離が少ないため、ヤマも十分ございます。
●整備履歴の抜粋●
オーナーさんが所有されてからの主な整備履歴は下記の通りです。
・(前オーナーさん所有時)ブルーバード410用のE1型エンジンに載せ替え済み
・前後バンパー再メッキ(現オーナーさん購入時)
・排気管ワンオフ作成(ステンレス太鼓+鉄パイプ、業者依頼=マルス社)
・前後シート張替え+ウレタン詰め直し(DIY)、・ドア内張り張替え(DIY)・サイドブレーキレバーブーツ自作、・カーペット自作、・木製シフトノブ自作
・ドア窓水切りゴム交換(社外品)・フロント・リヤガラス雨漏り修理(コーキング)、
・トランク落雪へこみ補修(DIY)
・燃料フィルタ交換(社外品)、・燃料タンク外側コーティング、・燃料タンク入口ゴム管交換、・ヒーターホース交換(汎用品)、・ラジエータホース交換(汎用品)、・燃料ホース交換(汎用品)
・キャブレター分解清掃、・アクセルワイヤースリーブ被覆補修(熱収縮チューブ)
・キャブ下のアルミ遮熱板自作、・エキマニ下のアルミ遮熱板自作
・クラッチプレート新品交換(業者依頼)、・クラッチスリーブ新品交換(業者依頼)
・クラッチカバーアセンブリ新品交換(業者依頼)、・クラッチオペレーションシリンダのオーバーホール
・エキマニ中古品に交換、・エキマニガスケット新品交換
・デスビバキュームアドバンサのダイアフラム張り替え(豪Advanced Diaphragm
Options社に依頼)、・デスビロータ新品交換、・スターターモータ修理(コイル巻き直し、業者依頼)、・機械式ボルテージレギュレータ新品交換(310サニー用?)、・エンジンルーム内アース線増設
・ハザードスイッチ新設&ウインカーのリレー化(配線自作)、・ヘッドライトのリレー化(配線自作)、・プラグコード交換(汎用品)、・プラグキャップ交換(汎用品)
・ウォッシャータンク交換(社外品)+室内スイッチ新設(業者依頼)
・FMチューナ+CDプレイヤー新設(電源スイッチ配線自作)、・ナビ用スマホホルダ自作(磁石式)、・USB電源新設(バイク用汎用品)
また、下記の予備パーツをお付けいただけるとのことです。
(予備部品)
・純正オイルフィルタ、・エンジンガスケットセット(社外品)、・キャブレターオーバーホールキット(社外品)、
・適合オルタネータ予備(業者依頼でプラスアース化済み、サニー310用か)
・ウインカーレバーアセンブリ中古(ディテント不良修理に)
・クラッチオペレーションシリンダー中古、・ブレーキ・クラッチ用パッキン予備
・キャブ下遮熱板(純正)
(以下ジャンク純正部品)
・クラッチカバーアセンブリ(切れ不良あり、部品取りに)
・プラグコード及びプラグキャップ(リークあり)
・リアウインドウのウェザーストリップ(天井張り交換用に新品購入も劣化が顕著で使えず。型取り用か)
・ウォッシャー液タンク(キャップに割れあり、樹脂溶接で補修も治らず)
●オーナー様談話●
20年程前に最初に購入した車がこの車でした(笑)。以来、主にコツコツとDIYでメンテナンスをして等身大プラモデルの感覚で楽しんできました。出先で話しかけられる機会が非常に多いです。内外装のレトロ感、磨き甲斐のある金属部品の質感、ラダーフレームの剛性感がとても気に入っていたのですが、近年はバイクがメインとなり、あまり乗る機会がなくなってきたため、引き継いでいただける方がいらっしゃればお譲りしたいと考えています。もちろん自走可能で車検もございますが長距離走行にはやや不安がある状態です。ワンオフのマフラーは出来が良いようで、しっかりしたトルクが楽しめます。希少な吉原工場製の個体ですが、エンジン載せ替えもありオリジナル度は高くないため、希少な純正部品を投入してびっちりレストアするというよりは、汎用品や流用部品を使った創意工夫のDIY整備を楽しむのに最適な車両かと思います。
●取材者私見●
オースチン・ミニを彷彿させるアイボリーのボディカラーがとってもキュートなP312型ブルーバードです。細かい劣化箇所は多々ございますが、全体的には外装、内装ともに良好な状態を維持されています。ご厚意で同乗走行させていただきましたが、いわゆる旧車の気持ちいい走りが楽しめます。旧車DIY用のエントリーモデルしていかがでしょうか?
限られた画像と文面ではご紹介しきれていない面もございますので、ぜひ一度現車をご覧いただきたいお車です。お探しの方はぜひご検討ください。
コンディション維持のため、走行距離は若干伸びますことをご了承ください。
個人売買のため消費税はかかりませんが、リサイクル料金・自動車税月割分相当をご負担いただきます。
現車は東京都内にあります。
上記は限られた時間内での取材であり、かつ記載内容につきましては、取材者の私見に基づくところもございますので、ご購入に際しては必ず現車をご見学の上でご納得されてからご検討ください。
なお、お車の特性とオーナー様のお仕事の都合上、ご見学については購入検討の方のみに限らせていただきます。
冷やかし防止とスムーズなご連絡のため、お問い合わせの際は必ずお名前、ご住所、お電話番号をお知らせいただけますようお願いします。