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◆510型ブルーバードについて
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510型ブルーバードは1967年に三代目として登場します。直線的でスポーティーなラインを取り入れた『スーパーソニックライン』と呼ばれるデザインで話題となりました。
技術面では当時吸収合併したプリンス自動車の技術を取り入れ、L型エンジンの搭載、日産初の4輪独立懸架の採用、『技術の日産』をアピールすると共に、510型ブルーバードは大ヒット作となりました。
日本国外でも欧州車並みに高度なスペックを備えた魅力的なセダンとして「プアマンズ・BMW」との評されました。また、モータースポーツでも活躍、初めて北米市場でヒットした日本車となりました。
当時の米国では高校生が初めて乗るクルマとして人気を博し、その世代の米国人にとっては思い出深いクルマのようです。続いて開発された初代フェアレディZと共に、北米輸出市場における日産(ダットサン)の躍進を実現した存在ともいえます。
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◆ご紹介する車両について
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今回ご紹介する車両は北米向けのPL510型ブルーバード、ベースモデルは1600DXのようですが現在の仕様は『伝説のチャンピオン BRE TransAM510』と変貌しています。
◆BRE TransAM510について
1970年、ピート・ブロック率いるBRE(Brock Racing Enterprises)はBRE240ZでSCCAプロダクションCクラスを舞台に大活躍していました。当時のUSAニッサン社長片山豊氏は彼らにセダンである510ブルーバードを使用したレース参加を要求します。
それに答えたBREは翌1971年開催のTransAM2.5に参戦を表明し、同じくTransAM2.5に参戦を表明したアルファロメオ・BMWに勝つためにダットサン510をベースにしたBRE TransAM510の開発を開始します。ボディを薄く加工しロールケージでフレームを形成して徹底的なボディの軽量化を図りBRE240Zに搭載されていたL24型エンジンをTransAM510に搭載するために3分の2のサイズに縮小したL16型エンジンを開発、後の1972年にはさらに馬力の大きいL18エンジンを搭載します。
そして開幕した1971年のTransAM2.5シリーズでは、BRE TransAM510にジョン・モートンのセンスと情熱溢れるドライビングが合わさり優勝を重ねていきます。しかし強力なライバルとしてホルスト・クウェッチのアルファロメオが立ちはだかり、タイトル争いは一進一退を続け決着はシリーズ最終戦のラグナセカまで持ち越されました。最終的にBRE DATSUNは、アルファロメオの奇策に遭いながらも見事勝利し、BREは片山豊にDATSUN史上初のマニュファクチュラーチャンピオンを贈りました。そしてジョン・モートンはドライバーズチャンピオンに輝き、栄光のダブルタイトルを獲得、翌1972年、BRE TransAM510にはさらなるチューンナップが施されパワーアップし、2年連続のダブルタイトルを獲得します。こうしてBRE TransAM510は、21世紀にも語り継がれる伝説のチャンピオンとなりました。
◆当時の映像が『YouTube』にありましたのでご紹介します。
https://www.youtube.com/watch?time_continue=212&v=U5XAP4pCRps
現オーナーさんは、このBRE TransAM510仕様の車両(セダン2ドアモデル)を再現したくなり、探していたところ旧車を扱っているショップにあることがわかり、即購入となります。
購入した車両はDX改のモデル、左ハンドル、ボディカラーはブルー、前後のオーバーフェンダーを装着、L18型エンジン搭載、レカロシート、レース仕立てのインパネ、車高調整サスペンションなど、BRE TransAM510を再現するにはいい個体でした。
そこから手を入れていきます。
◆その内容は
・ボディ塗装(エンジンルームのブルーを残し、レッドとホワイトでラッカー塗装)
・BRE DATSUNデカールの貼り付け(新規で作成)
・ゼッケンナンバー、各種ステッカーの貼り付け(一部アメリカのBREから取り寄せ)
・フロントサイドターンシグナルライト撤去(保管しています)
・リヤサイドリフレクター撤去(保管しています)
・トランクキーシリンダー撤去(保管しています)
・番号灯撤去(保管しています)
・内装の塗装(ブラック)
・リヤシート撤去(保管しています)
・運転席4点式シートベルト装着(純正3点式シートベルト有)
どこから見てもBRE TransAM510ですが、まだやり残している箇所があるそうです。
例えば、ロールゲージ、リブレー風ホイール、燃料タンクなど、しかしどうしても欲しい車が出てきたそうです。ここまで仕上げて手離すのは惜しいのですが、大切にして頂ける方に引き継いで頂きたいということでエンスーの杜への掲載となりました。
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◆ボディ
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塗装は大変きれいな仕上がりとなっています。塗装はラッカー塗装、オーナーさんは昔、塗装業に従事していましたので、塗装はオーナーさんご自身で行ったそうです。
ただし、デカールやゼッケンサークル、各種シールの貼り付けは知り合いの看板屋に依頼しました。プロにお願いしたということです。
ボンネット、フロントフェンダー、リヤのオーバーフェンダーはFPR製です。
リヤのオーバーフェンダーはボディパネルをカットし、錆などが出ないように溶接し、シール処理を行っています。
4灯のヘッドライトはホワイトに塗装、その上からシールを貼り付けています。
車検時にはヘッドライトの交換が必要ですが、ノーマルのヘッドライトを所有していますのでお付けします。
前後のバンパーは多少の凹みや塗装を施した跡が見られます。
ホイールはワタナベ、オーバーフェンダーに合わせてワンオフで作成しています。
タイヤサイズは、フロントが165/65R14、リヤが185/60R14です。
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◆インテリア
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ボディパネルのむき出し部分はブラックに塗装しています。
メーターは右からスピードメーター(キロ表示)、タコメーター、水温計、油圧計、油温計、燃料計、バキューム計、電圧計の8連メーターです。
バキューム計は針の振れがありました。
インパネパッドは割れがありましたのでシートを貼り付けています。
ステアリングホイールは、メタルフレークステアリングホイールを装着しています。
特筆すべきは室内ミラーがマルチルームミラーとなっています。
ヒーターはありません。
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◆機関
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L18型エンジンに載せ替え、ソレックスのツインキャブレター、タコ足のエキマニ、エキゾーストパイプはワンオフでステンレス製、トランスミッションは5速のマニュアルミッションです。
現在、トランスミッションの5速ギヤに入らない、または入れても抜けてくる不具合があります。原因はおそらくシンクロだとお話しがありました。その他のギヤはいいそうです。
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◆足回り
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車高調のサスペンション、ローダウン仕様です。
ディファレンシャルはノーマルです。
特に不具合はありません。
更新記事(2020.07.26)
欲しい車が出てきましたので思い切って値下げをしました。ぜひ、この機会に希少な510ブルーバードをお手元に!!
車は岐阜県にあります。
個人売買の為、消費税などかかりません。
自動車税の月割り負担分は、別途、清算させて頂きます。