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| 取材日2023年9月13日 |
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第1章・・・
1960年台・・・メルセデス・ベンツの様な、戦前より市販車を販売することを事業としていた大企業が計画的にレースに出て、市販車の魅力をアピールし販売を促進するのとは対照的に・・・、バックヤードからその歴史をスタートした、小規模フォーミュラー専門コンストラクターであったロータスは、レースでの素晴らしい成功を生かして時折市販車を作ると言う・・・、全く真逆の相対する視点からロードカーを極めて少数生産し、レース参加を継続するための資金源にしていました・・・。 その出生背景から生まれる当時のロードカーは、故コーリン・チャップマン氏の絶対的哲学「軽さを加える・・・」という発想のもとに、圧倒的に軽いシャーシの構造、エンジンレイアウト、シンプルで合理的で実によく動く足回りなど、市販車をベースとしたスポーツカーとは一線を画す全くの別物・・・その根本は、当時の葉巻スタイルのレーシング・カーそのものであり、実際に公道を走れるロータスを手に入れる事が出来た、当時の限られたエンスージアスト達に、他では味わい様が無い極上のドライビング・エクスペリエンスをもたらしていました・・・。 そんな稀有な誕生ストーリーを背景に想い・・・、クラシック・ロータスの中でも最もエキセントリックなモデル・・・ロータス・ヨーロッパに触れる度に、ロードカーのフリをした当時のレーシングカーそのものの内容に・・・「よくぞ当時こんなクルマを9230台も作ったな・・・」と感じざるを得ません・・・。 フォーミュラー・カーから派生した特殊な造形を持ち、半世紀に渡り世界中のエンスージアストに“異彩”と言う名のオーラを振り撒き魅了し続けてきた「ロータス・ヨーロッパ」も、今日ではすっかり絶滅危惧種・・・。世界中で健康体を維持し現存する個体数は激減しています・・・。 当然の事ながら、当時さながらに各部にフレッシュな手が確り入り、きっちりと仕上げられたビンテージのロータスに触れる事は、他のプロダクション・カーに触れるのと一種違った感が明確にあり、過去にさかのぼり、過ぎ去った時代の自動車美学をタイムマシン的に体験できる・・・。「ビンテージ・ロータス・ヨーロッパに乗る・・・」と言うこの最も明確な方法は、1960年代英国のエンジニアリング・造形・フィーリングを凝縮した、コーリン・チャップマンの美学・哲学そのものに触れることが出来る・・・いうならば人類学の実践的なエクササイズである様にさえ思うのです・・・。
第2章・・・
開発コード“タイプ46”・・・1966年12月に発表されたロータス・ヨーロッパは、その前衛的スタイルもさることながら、故コーリン・チャップマン氏の「単純化して、軽さを加える・・・」自動車デザインの哲学に沿って設計・製造された、他に類を見ない実に独創的なクルマです・・・。 1960年代半ばには、ミッドシップというエンジン・レイアウトは、フォーミュラー・カーにこそ最適なレイアウトとして確立されていましたが、公道を走る車にはまだほとんど採用されておらず、ロータスヨーロッパの今なお語り継がれるアイデンティティーである、エンジンを真逆に搭載し、トランスミッションを直結、ドライブ・シャフトを不要としたこのミッドシップレイアウトは、「ロータスを成功に導いた60年代フォーミュラを使って、ミッド・エンジン・ロード・カーを作りたい・・・」と考えていたチャップマンにとって「単純化して、軽さを加える」思想哲学にぴったりなプロジェクトとして、実に多くの独創的デザイン・アプローチを実施して完成し、S1からS2・・・ツインカム・・・そしてスペシャルへとその後シリーズを追うごとに熟成します・・・。 当初チャップマンは、このヨーロッパ市場向けに発売する計画を立てた新しいロード・カーに、英語で「妖精」を意味する「ロータス・エルフィン」と名づけようとしますが、スペイン語で「エルフィン」は「終わり」を意味する事を知り断念・・・、そのままストレートに販売市場の"ヨーロッパ"というネーミングが採用されました・・・。 フェラーリ250GTO同様・・・“ブレッドバン”(パン屋の配達バン)と揶揄される、ヨーロッパ独特の仮想ロングテール、“コーダトロンカ形状”は、1963年にロータスのエンジニアリング・ディレクターであるロン・ヒックマンが、フォードが製造するレースカー「フォードGT40」を、ロータスが受注するための図面を作成した際にデザインを起こしたものです・・・。残念ながらその契約がローラ・カーズに奪われると・・・、チャップマンはヒックマンが描いた、空気抵抗係数わずか0.29という高効率の空力設計を、新しいミッドエンジン搭載車として計画していたヨーロッパのデザインとして採用したのです・・・! このロータス初のミッドエンジン搭載ロードカーには、改良されたルノー16エンジンと4速ギアボックスを搭載し、ロータスの慣習に従い、スチール製のバックボーン・シャシーにグラスファイバー製のパネルを組み合せたボディを架装・・・、フォーミュラーの足を簡素化した独創的な"チャップマン・ストラット "と呼ばれる4輪独立懸架を採用し、「実にしなやかに、そして機敏で軽量」という素晴らしい素性を与えられたのでした・・・。 ロータス・ヨーロッパに乗るたびに毎回感動する、この世のものとは思えない程、キレのあるハンドリング・・・!「昔のフォーミュラーはきっとこんな感じだったんだろう・・・」と思わせてくれるそのフィーリングたるや・・・これはまさにスポーツカーの域を完全に超えた「ロードゴーイング・フォーミュラ」その物・・・!
第3章・・・
スーパーセブンでのコーナリングが、斧でダイナミックに切り崩す感じだとすると・・・、ヨーロッパのそれは、シャープなナイフで、ミリ単位を繊細にカットする感じ・・・。オーバーステアへの移行は非常に緩やかで、まるでスローモーションのような感覚を覚える・・・。レーシングドライバーは、コーナーリング中に考える時間を持つと言いますが、その理由が分かる気がする・・・。ヨーロッパのドライビングにはそんな感覚があります・・・! 捩れの習性を積極的に利用したタイプ26(エラン)から脈々と続くバックボーンフレームを前後ひっくり返したシャーシと、大人二人で持ち上がる程軽量なFRPボディにより、「しなやかな軽さ」を得たヨーロッパのハンドリングは、“絶対的に楽しい異次元レベル”の一言・・・。たとえ走り慣れていないツーリングに出くわした初めての峠道でも、ちょっと張り切って縁石ギリギリを狙いたくなる感覚を、ドライブする全ての人に寛容に与えてくれます・・・! 軽い車体と車重前後バランスが生み出すブレーキは、ノンサーボ+後輪ドラムブレーキながらも、踏めば踏むほど効く感覚と、軽い車体に対して十分なストッピング・パワーを持ち、これまた超絶楽しい、実にキビキビとしたドライバビリティを味合わせてくれるのです・・・! S2の特徴であるフィンが遮る左後方の悪視界も、最初は戸惑い現代風のカメラモニターが必要かも・・・など思われるかもしれません・・・が!慣れてしまえば不思議に見えるようになります(笑)・・・!その他に・・・ステアリングがセンター方向に斜めについている・・・。ドライバーシート自体もセンター向けに斜めについている・・・。など楽しい要素満載(!)で、「車が万人に合わせる・・・」という現代の車では当たり発想とは全く真逆の・・・「ドライバーがヨーロッパに合わせる・・・!」る事ことを強いられますが、それらが「これは超絶楽しいぞ・・・!」と気がついた頃には・・・、その唯一無二の魅力から離れられない・・・、立派なクラシック・ヨーロッパ乗りになるのではないでしょうか・・・(笑)
いよいよ第4章・・・
由緒正しい血統書付のクラシックカーも、もちろん素敵です・・・。大切に扱いオリジナルを維持することを最大限気遣い、交換しなくてはならないパーツに関しても純血を吟味しながらの作業・・・そんなアップタウンガールに気遣いながらの“恋”よりも、ガレージの中で心の赴くままアップデートを楽しむ・・・ロータスヨーロッパを乗り継いだオーナーが行き着いたのはそんな境地の一台でした・・・。 どうせなら最高にクールな47Rをオマージュして更に作り込もう・・・! オーナーがこの個体を手に入れたのは数年前・・・それまで長く付き合ってきた純血血統書付のS2を、今度は心の赴くままの恋を目指し、永遠の別れを遂げた直後の事でした・・・。 「この子なら触らせてくれる・・・!(※注意・・・この個体なら自由にカスタムが進められる・・・の意味)」 オーナーの手元に来た個体はすぐさまボディショップと相談が始まり、イギリスから「クラシック・チーム・ロータス」のカラーリングスキームを入手し、再構築がおこなわれました・・・。拘ったのはイエローカラーのピンストライプ・・・見えないボディ裏までしっかり回り込んだもので、勿論塗装で仕上げられています・・・。 エンジンは往年のルノーエンジンですが、通常のカウンターフローを、効率の良いクロスフロー化しています・・・。この際ワンオフでインテークマニホールド制作に加えてウエーバー45パイをツインで装着、それに合わせてスロットルリンケージを装着・・・排気系に至っては、等長エキゾーストマニホールドをワンオフで作成・・・同様にステンレスマフラーをやはりワンオフで作成し装着しています・・・。これらの組み合わせでも、キャブ調整でガス濃度を絞り込むことで、陸運局持ち込み車検をパスすることが出来る内容です・・・。またクロスフロー化に伴い冷却パイプ系の見直しを実施、ステンレス製パイプにてワンオフ制作しています・・・。 それ以外にもアップデートしたポイントをまとめて列記すると・・・ ●エンジン・トランスミッション当時物マッチング ●足回り装備 ●ボディ関連 ●内装インテリア などなど・・・ ※現在の不具合・・・といえば燃料タンク・フロートのアースが原因か?つられて水温計の針がシンクロして振れる現象があります・・・現在原因調査中ですが修理可能とはメカニックから聞いています・・・。 前回二月の車検時にも整備を施した後に、自ら陸運局に持ち込んでの車検取得を実施しています・・・。 「早速、乗り込んでみると・・・」 ロータス・ヨーロッパのコックピットに乗り込むのは、慣れれば簡単ですが、スーパーセブン同様の技を必要とします・・・。ヒップポイントは地上から10数センチ・・・ドアを開け、手を伸ばせば地面に容易に手が届く・・・、そんな非常に低いドライビングポジションに収まり、夜な夜なガレージ内でステアリングを握るだけで実に心地よく・・・、「ここでチャップマンが何を思ったのか・・・」感慨深い念に耽ることが出来る空間があります・・・。 この上からギュッと押しつぶした様な、幅は広いが、レーシングカーの如くとてもタイトな空間は、クルマ好きにはたまらない空間でしょう・・・!フォーミュラーカーの様に寝そべったポジションも、素晴らしく丁度良く、前方視界も驚くほど良い為、「このまま走ってみたい・・・!」という気持ちが、否が応にも高揚します・・・! 右手を伸ばし助手席前にあるキーを回し、システムをオンの状態に・・・上段右から2番目の燃料ポンプスイッチを入れると、ツインウエーバー45DCOEキャブレターへのプライミングが始まります・・・。燃料ポンプの心地よいサウンドに耳を傾けて、スロットルをパーシャルに・・・そして、スターターボタンを押すと・・・!ルノーの・・・いや、全くルノーらしからぬサウンドで4気筒エンジンがあっさり目覚めます・・・! チャップマンの要望の元、ルノーがすべての改造を行い、ロータスにコンプリートエンジンを供給した時代のこのエンジン・・・その結果、フィーリングやエキゾーストノートは、全くルノーらしく無い物・・・しかもクロスフロー化に伴い、等長エキマニから短い距離のマフラーを通じて排出されるエキゾーストノートは、非常にコンプレッションの効いた迫力あるものです・・・! 果たして、車高が非常に低い為なのか・・・、マインドスピードなのか・・・、あっという間に目が追い付かない速さまで、このエキセントリックなロードゴーイングフォーミュラは、素晴らしいサウンドと共に、実にしなやかに進むのです・・・! 走り出すといつもニンマリ・・・・これこそビンテージ・ロータスの深い味わい・・・。この車が当時チャップマンの超越した哲学・思想で作られ、現代の車に全く無くなってしまった、「性能を超えた感性」を持っていることがすぐにご理解頂ける事でしょう・・・。
最終章・・・
「性能を超えた感性・・・」これこそが、クラシック・ロータスで味わえる醍醐味と、長年体験を通して感じた筆者の感想です・・・。 「単純化して、軽さを加える・・・」そんなチャップマンの思想・哲学に触れることが出来る・・・! なかなか味のある人生では無いでしょうか・・・。 「クラシック・チーム・ロータス・カラーの47Rオマージュ・・・ロータス・ヨーロッパをこよなく愛するオーナーが夢中で仕上げた一台とは・・・!超絶楽しい唯一無二のドライバビリティを味わいながら、ガレージで気の向くまま日々進化する一台・・・!69年式ロータス・ヨーロッパS2 タイプ54 47Rオマージュ・・・!」 もうお分かりでしょうか・・・実は筆者の愛車になります・・・。 「ビンテージ・ロータス・ヨーロッパに乗ると言う事・・・」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 この「1969年式 ロータス ヨーロッパS2タイプ54 47Rオマージュ」は現在、群馬県にあります。 個人間売買のため消費税・諸費用等はかかりませんが、月割り自動車税精算(年額¥39,600)、リサイクル預託金(¥10,320)については、ご清算をお願い致します。また陸送等に関しては購入者様にご負担いただきますが、弊社の法人事業でも車載陸送は実施しておりますのでご相談ください。 (お問い合わせに際して) 過去の整備記録や修理歴など含めて現オーナー様から詳細ヒアリングを実施、事故歴の有無含めて取材しております。 記事内容は筆者が所有していた期間の中で、情報収集し日々体感したものを元に原稿作成したものです、半世紀以上経過した車両につき100%正確に記載しているとは限らない場合があり、過去のモディファイの事実に関しても全て裏付けを取ったものではありません。 状態等のコメントもあくまで筆者の主観によるものである事をご承知おき下さい。 掲載車両に関してのご質問や現車確認のお申込はこのページの一番下よりご連絡下さい。なお個人間での取引となりますので、冷やかし防止のため、現車確認はあくまで購入を前提として検討されている方のみとさせて頂きます。 |
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| 以上の記事内容は、オーナーさんのコメントをもとに作成したものです。 整備履歴、修復歴などに関しては、エンスーの杜で裏づけを取ったものではありません。 |
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| 750万円 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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