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◆ランチアベータ・クーペについて
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ランチアベータ・クーペは、ランチアベータ・ベルリーナからの派生モデル、1973年11月に登場します。
ランチアベータは、フィアット傘下に入って最初のモデルであり、様々なフィアット社の技術が使用されています。ランチアフルヴィアから受け継いだ前輪駆動に組み合わせるエンジンはフィアット124も積んでいた直列4気筒ユニット、サスペンションもフィアット128と同じ4輪独立懸架サスペンションが採用されています。
設計チームは旧ランチア時代のスタッフで揃えられていた、非常に珍しいポジションの車のようです。
1975年にはシリーズ2に進化、丸型4灯だったヘッドライトが楕円2灯となり、グリルもシンプルなものに変えられたシリーズ2に進化します。この際に従来の1.8リットルは2リットルに格上げされる一方、その翌年には廉価版として1.3リットルモデルもラインナップに加わります。1980年、ランチア伝統のマスクが与えられたシリーズ3に進化、更に1983年には従来の1.3/1.6/2Lに加えて、シリーズ最強版となるVX(ボルメックス)が追加されます。これはアバルトの開発によるルーツ式のスーパーチャージャーを装着したモデルで、135PSを発揮しました。
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◆ご紹介する車両について
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今回ご紹介する車両はランチアベータ・クーペ1300、初年度登録は1985年、並行車ですがおそらく当時イタリア車を輸入していたショップが入れた一台だと思います。
現オーナーさんは約4年前に欧州車専門ショップで購入します。当初はアルファロメオを探していたそうですが、なかなかいい個体が出てこなかったそうです。
しばらくしてからショップの方からいい車両が入っていたので見に来ますかとお誘いがあり、ショップへ出かけたところ、このランチアに出会います。その洗練されたスタイルと1300ccのエンジン、マニュアルミッションなど、アルファロメオと比較しても遜色がなかったので購入することになります。
オーナーさんのお住いの地域は緩いカーブとアップダウンが幾重にも続く道路があり、少しスピードを上げながらシフトチェンジするには打ってつけのコース、休日には自分のコースを定め、ドライブを楽しんで来られたそうです。
しかし、欲しい車があり手放されることを決意、エンスーの杜への掲載依頼となりました。
所有していたい気も半分、好きな方にお譲りした方がいいと思う気も半分、微妙に揺れ動く心情をお話していました。
コンディションのいいランチアベータ・クーペは少ないと思いますので、この状態を維持して頂ける方を希望しますと追加のお話もありました。
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◆外観
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ランチアレッドのボディカラーはきれいな状態です。塗装の状況を見ますと再塗装していると思います。現オーナーさんが購入したときは、今の状態でしたので今までのオーナーさんが塗装したようです。
ランチアのイメージであるフロントグリルはシリーズ3からです。デルタと同じですね。
バンパーはメッキ、コーナーはゴムのプロテクターを装備しています。メッキはきれいな状態でした。
再塗装していますが、すこし時間が経過していますので塗装の割れや飛び石によるキズがありました。また、サイドセンタープロテクターに劣化が見られました。
アルミホイールは純正ホイール(クロモドラ)、タイヤサイズは185/65R14です。
リヤ右のホイールは少し変形がみられましたが空気抜けなどはありません。
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◆内装
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シンプルでオーソドックスなデザインのインストルメントパネルです。
コンビネーションメーターは赤、黄、緑などを使用する視認性をよいメーターとなっています。
シートはレザー製、リヤシートを含め張り替えています。
シートの造形はさすがイタリアと思わせるデザインとなっています。
インパネパッドに2個所、割れが見られました。(デフロスター部分)
天井はファブリック製、垂れはありません。
フロントドアトリムは張り替えていますが、オリジナルではありません。
現在、助手席ドアのウインドウガラスは半分しか開けられません。一度動かなくなったことがあり、ショップで見てもらったときにレギュレターが弱っているため、全開にしないでくださいと言われたためです。
あとで電圧計が動いていませんでした。
エアコンを装備していますが、今まで一度も使用したことがないそうです。
作動するのかどうかわかりません。車に負荷を掛けたくないため、使用をしていませんということでした。
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◆機関
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直列4気筒DOHCエンジンで1366ccの排気量、8.9の圧縮比に2バレルのウェーバーキャブを1基組み合わせることで最高出力84PS/5,800rpm、最大トルク11.3kgm/3,200rpmを発生させます。5MTとの組み合わせです。
特に不具合はないとお聞きしていますが、エンジンがしっかり暖まらないとアイドリングが安定しません。エンジン暖機後、試乗させて頂きましたが快適な走行でした。
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◆足回り
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オリジナルの足回りです。
◆足回り仕様
ステアリング形式:ラック&ピニオン
サスペンション形式(前):マクファーソンストラット+コイル
サスペンション形式(後):マクファーソンストラット+コイル
ブレーキ形式:ディスクブレーキ
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◆メンテナンスについて
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オーナーさんが行なった整備記録です。
◆2017/5 一般整備
・キルスイッチ設置(フロアコンソール部)
・右ウインドウレギュレター調整
・左右ドライブシャフトアウターブーツ交換
◆2017/8 車検整備
・車検整備一式
・プラグコードキャップ修理
・ヘッドライトバルブH4交換
・ヘッドライトバルブH3交換
・ラジエター修理/清掃
・ラジエターシートグロメット交換
・電動ファン&マウントボルト/ナットステンレス化
・LLC交換
・ブローバイガスパイプ&ホース作製
・フロントブレーキエアブリーダーキャップ交換
・ブレーキオイル交換
・アウタードアオープナーAssy調整
◆2019/5 一般整備
・キャブレターOH
・インテークマニホールド清掃
・ウォーターポンプフランジガスケット作製
・ラジエターアッパーホース〜エンジンヘッドパイプ塗装
・エンジンカムカバー清掃
・カムシャフトホルダー清掃
・エンジンヘッドAssy清掃/調整
・プラグホールリコイル施工(#1#2#3#4)
・エンジンヘッド 平面測定&面研(ブロック側)
・エンジンヘッド In/Ex側 平面測定&面研
・エンジンブロックヘッド面側 測定&面研
・カムホルダーヘッド側 測定&面研
・カムホルダーカムカバー側 測定&面研
・バルブリフター&シム清掃
・バルブクリアランス測定
・カムホルダーカバー In/Ex 測定&面研
・エンジンガスケット交換
・カムホルダーカバーガスケット交換
・Inマニホールドガスケット交換
・Exマニホールドガスケット交換
・タイミングベルト交換
・タイミングベルトテンショナー交換
・エンジン調整(キャブ&点火タイミング)
・LLC交換
・クラッチワイヤー修理
・水回り、Ex回りのネジ類ステンレス化
・右ドアInオープナー調整
◆2020/3 車検整備
・車検整備一式
・エンジンオイル、フィルター交換
・ブレーキオイル交換
・メーター内ウインカーインジケーター修理
・メーターイルミネーションバルブ修理
・メーターインジケーターランプ修理
・メータープリント基板 配線修理
・サイドブレーキワイヤー(ステンレス)作成、調整
・LPSプロポーショニングバルブ調整
・リヤ左右ブレーキキャリパーOH
・ブレーキホースガスケット交換
・キャブレター調整(自動チョーク)
・スペアタイヤ交換(中古)
◆2020/6 一般整備
・タイヤ新品交換(4本)
車は岐阜県にあります。
個人売買の為、消費税などかかりません。
リサイクル費用と自動車税の月割り負担分は、別途、清算させて頂きます。