M5シリーズの4代目となるBMW M5 E60は、Mシリーズで唯一のV10エンジンが搭載され、2003年に発売されました。
一番の特徴である5リッターのV10エンジンは、BMWのバルブコントロール技術「ダブルVANOS」によって507psを叩き出し、リミッターを解除すると330km/hに達するといわれています。

もう一つの大きな特徴であるトランスミッションは当時のBMWではスポーツモデルにのみ導入されていたSMG�V（Sequential Manual Gearbox）です。これは、いわゆるセミオートマであり、クラッチ操作を自動で行ってくれるマニュアル・トランスミッションとなっています。このSMGとの組み合わせにより、0-100km/hまでを5秒以下、200km/hまで15秒で達するという超ハイパフォーマンスなマシンとなっています。

また、E60から搭載されたドライブロジック機能によって、ドライビングスタイルに合わせたギアシフトオプションが選択でき、【D(オートマ)モードで5段階、S（マニュアル）モードの6段階】のプログラムが選択可能です。Dモードではシフトチェンジタイミングを、Sモードではシフトスピードをドライビングに合わせて設定でき、更にシフトレバーやパドルシフトでのシフトチェンジも合わせて、自分好みのドライビングが可能となっています。

BMW M5 E60は、マイナーチェンジの時期により、前期・中期・後期型に分類されますが、今回のお車は後期型になります。
前期型・中期型と後期型の大きな違いは、エクステリアがより滑らかなデザインとなり、ヘッドライトをクリアガラスに、ターンインジケーターやテールランプにはクリアレンズが採用されていることと、電子シフトの導入です。また、モデル末期で細かな不具合が潰され信頼度が増していることも購入される上でのポイントとなるでしょう。

【外装】
アルピンホワイトのボディは美車と言っても良い綺麗さです。オーナー様は年に１度、キーパーコーティングをされているということで、良好な状態を保たれています。
ボディの小さな欠点を挙げるとすればフロント部分に小さな飛び石傷が少しあるくらいですが、その傷も少なく、過去にサーキット走行をしていた車では無いと推測いたします。オーナー様もサーキット走行や荒い走りはされていないとのことです。
欠点を挙げるとすれば、ホイールの2本にガリ傷があり、「玉に傷」という言葉がまさに当てはまると思いますが、これがぱっと見てわかる唯一の傷になります。

【内装】
内装は高級感のあるホワイトのシート(実際はホワイトに近いグレー)が目を引きますが、全体的にクリーンな状態で、シートのシミ汚れなどはなく綺麗です。ただし、運転席の乗降側のサイドサポート部分と座面の一部に、乗降及び使用によるスレが見られました。画像を上げていますので、ご確認下さい。

インテリアはスポーティかつ上質なもので、年代が新しい分、現代的にクールにまとめられています。艶消しシルバーのトリムはアルミ削り出しのオプション品とのことでした。

それから、ポルシェでもベンツでも同様なのですが、近年、内装のプラスチック部分に薄いゴムのようなコーティング(塗装)をするようになり、手触り感や見た目の高級感がアップしているのですが、良く触れる部分などは年月が経つと、このコーティングが剥がれてきます。致し方ないものですが、スタータースイッチ周辺やステアリング部分などの一部に、この剥げが見られました。ステアリングの革の状態は良好です。

不具合箇所としては純正ナビの故障でナビ画面が映らなくなっています。バックモニターも付いていますが、画面が映らないため使えません。オーナー様はナビ機能についてはスマホを使われているとのことで不自由はされておらず、走る機能としては関係無い部分の故障ではありますが、お伝えしておきます。

【機関】
全ての機能を試すことできませんでしたが、ナビ以外でオーナー様が自覚している不具合は無いとのことでした。一般道試乗のため、そのハイパフォーマンスを体験できるような走りを味わうことはできませんでしたが、エンジン、足回り、エアコン等問題ありません。
走行距離は9.3万Kmと、新車時からのアベレージで年間6,000km程度走っており、オーナー様が所有されてから2年弱で13,000Km程走られています。

タイヤはミシュランのパイロットスポーツ4S、フロントが255/40ZR19、リアが285/35ZR19、2021年製で、前後共に7〜8分山程度です。

【後付けパーツ】純正オプション含む。
ETC車載器
aFe エアクリーナー(純正部品あり)
ブレーキ周り(キャリパー、ローター等)をブレンボに交換(純正部品あり)

【整備履歴】
2022年2月にBMW正規ディーラー勤務の方が独立された専門店で、医師の方が所有されていて新型に乗り換えた下取り車を購入されたとのことです。
M5の大きな特徴である油圧機構が自動でクラッチ操作するセミオートマタイプのSMGですが、500馬力を超える大パワーを受け止めていることもあり、10万km程度で消耗しクラッチ交換の必要に迫られることもよくあり、その費用もかなりかかるとのことです。またSMG本体が故障すると、かなりの費用が掛かってしまいます。
しかし、このお車については76000km時点で一度正規ディーラーにてSMGの本体交換しているため、当面は大丈夫だろうとのことで、今後の維持費も考えられ、このお車を選ばれたとのことです。

全ての整備記録はありませんが、新車時からの記録が残っているものもありましたので時系列に記載します。
2007年10月　納車前点検(BMWディーラー)
2007年12月　2,026km　Mモデルのみの初回点検(BMWディーラー)　
2011年10月　18,172km 12か月点検(BMWディーラー)　
2013年　9月　25,229km 12か月点検(BMWディーラー)
2018年　8月　75,863km　
SMGのギアが入らなくなりアッセンブリー交換、油圧ポンプ交換、SZL（ステアリングコラムスイッチセンター）、ウィンドウウォッシャーモーターの修理・交換。(BMWディーラー)
2019年　1月 77,000km　車検証記載の走行距離
2022年　1月　現オーナー様が購入
2022年　2月 79,900km　車検証記載の走行距離
2022年　4月 80,275km　ディファレンシャル　インプットシール交換
2022年　10月　イグニッションコイル及びスパークプラグ交換
2023年　2月 86,764km 12か月点検(BMWディーラー)　
2023年12月 93,000�q　取材時

また、オーナー様が購入後にライトモジュール、o2センサー前後を交換されているとのこと。
エンジンオイル及びオイルフィルターは３か月に1度、交換されているとのことで、メンテナンスにも気を使われていらっしゃいます。

【取材担当者からの一言】
5リッターのV10エンジンは、507ps/7,750rpm、トルクは53.0kgm/6,100rpmと今では考えられないほどの高回転型エンジンです。レッドゾーンは8250rpm付近にあり、BMWがF1で培ったテクノロジーをフィードバックしたエンジンです。
自動車評論家も、「このエンジンだけでも、その値段を払う価値はある」と絶賛のエンジンですが、今では環境規制、騒音規制などでこのようなエンジンを発売することはできない世の中になってしまいました。
中古価格は現在が底値に近いかな・・と思いますし、タマ数も少なく今後は価格が上がっていくように思います。

30歳代後半の若いオーナー様は今までBMWを乗り継いで来られたとのことですが、2人目のお子様ができるに辺り、ここら辺で家族優先に・・ということもあり、ミニバンを購入され、大切にしていたM5を手放される決意をされたそうです。
私も同じような経験があり、オーナー様のお気持ちは本当に理解できる・・と思いました。
大切に引き継いでいただける方に乗っていただきたい一台です。

実車は熊本県にあります。
個人売買の為、消費税などかかりません。
リサイクル委託料金、自動車税（月割り）がある場合は別途頂戴いたします。

以上の記事内容は、オーナーさんのコメントと取材をもとに作成したもので、わかる欠点なども含めて記事を作成しておりますが、不具合箇所、整備履歴、修復歴などに関して取材時に完全に把握することはできませんし、エンスーの杜で裏づけを取ったものではありません。エンスーの杜より無理に購入を勧めることはございませんので、最終的にはご自身でご確認の上、購入をお決め下さい。