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メルセデスベンツ 300SEL 6.3 (W109) 1969年式
車検 2022年1月 走行 不明(エンジンOH後約10000km) 備考 中古並行車 4AT 複数オーナー ETC
長さ 500cm 181cm 高さ 142cm 重量 1790kg 排気量 6332cc
取材日2021年11月7日

当時のスーパースポーツに比肩する性能を持つ、究極のスポーツセダンとも最強のホットロッドベンツともメルセデス製高性能サルーンの始祖とも評された、300SEL6.3の程度良好車です。

300SEL6.3は1966年に、エンジニアであるエリッヒ・ワクセンバーガーのプライベートベンチャーとして試作されました。

強靭なW109のボディに当時のメルセデス最強の6.3リッターV8(M100型)という弩級エンジンを組み合わせたそれは、会社の敷地内で試走している際に、唸るようなサウンドを放つ明らかに異様なW109として上司である伝説の天才エンジニア・ルドルフ・ウーレンハウトの目に留まり、正式に開発のゴーサインが出されるに至ったという逸話があります。

それは最高のボディと究極のエンジンを兼ね備えた夢のようなセダンの誕生であるとともに、M100型エンジンを本来搭載するモデル600がそれ相応の台数しか売れなかったために、その対策としての開発コスト回収と製造キャパシティ活用の有効な手段でもありました。

そのような経緯で晴れて1968年3月のジュネーブショーにてお披露目された300SEL6.3は、瞬く間にセンセーションを巻き起こしました。

それはメルセデスの最高級セダンにして0-100km6.5秒・最高速度220kmという、当時のスーパースポーツもかくやというハイパフォーマンスを実現しながら、メルセデスならではの先進設備や豪華さ、そして快適性も兼ね備えていたからに他なりません。

こうして300SEL6.3は、当時衰退傾向にあったハイパフォーマンス車両領域におけるメルセデスの名声を復活させるとともに、今に至るメルセデス製パワーサルーンの系譜の礎となったのでありました。

●● プロフィール ●●

こちらの車は、多くのエンスー車両をお持ちのオーナーさんが、2014年9月に購入したものです。

300SEL6.3に憧れのあったオーナーさんは、並行輸入業者を介してアメリカより個人輸入をし、輸入後は日本の法規に適合させるためのメンテナンスや改造を施し、翌2015年の4月に晴れて車検を取得し今に至ります。

購入後は基本的に輸入クラシックカーに精通した工場にてメンテナンスを受けています。

その工場にて、

・エンジンOH(2017年)

・エアサスOH(2017年)

・ブレーキ回り修理・交換・OH(2017年)

・PW・ドアロック修理(2020年)

・PW・エアコン修理(2020年)

といったメンテナンスが実施されています。

時おりツーリングやイベントに参加することがメインとなっており、エンジンOH後の走行距離はおよそ10000キロに留まっています。

日常の保管は屋根付き車庫にてカバーを掛けています。

●● 外装 ●●

基本的にノーマルです。

目立つような大きなキズや凹みはありません。

塗装面はややくすみが見られるものの艶やかさが保たれており、灯火類やエンブレム類も良好です。

ルーフやCピラー等、部分的に軽微なサビ浮きが見られます。

メッキ類も基本的には良好ですが、モール類のゴム部分の引けや凹み等は部分的に見られます。

そのゴムに関しては、リアウインドウのゴムにヒビ割れが見られます。

その他バンパー角のゴム部分やフロントグリル先端部、ドアエッジ等にもキズは見られますが、いずれも軽微なものになります。

機能的な不具合は基本的にありませんが、アンテナが現在の位置より下がらないとのことです。

ラジオ自体は問題なく聞くことができます。

●● 内装 ●●

こちらも基本的にノーマルです。

モディファイされている箇所は、

・センタースピーカー(購入時より装着済み)

・クラシック調AM/FMラジオ

・ETC

となっています。

MBテックスのシートはオプションのヘッドレストが付いており、状態は良好です。

フロアマットはオプションの麻のものですが、普段は社外のマットでカバーされています。

1969年式とのことですが、ロット的に翌年モデルの仕様らしく、ATセレクターの順序が1970年式以降のものと同様になっています(Pが前方)。

純正ステアリングは概ね良好ですが、スポークの左右にクラックが見られます。

ダッシュに割れはありません。

リアルウッドのパネルは前席の三角窓下あたり等、年式相応の表面劣化が見られる箇所もありますが、概ね良好です。

時計が不調で、動かない時もあるようです(取材時には動いていました)。

また、リアシートの背もたれ下部が浮いているようで、センターアームレストを収納した際に明確な段差が生じますが、センターアームレストを出した状態ではわからないのと、実際に座った時には特に違和感がないのでそのままになっています。

ルーフライニングの状態は良好です。

●● 機関・足回り ●●

基本的にノーマルです。

変更箇所は、ブローバイキャッチタンクが取り付けられている程度です。

前述の通り、メンテナンスは輸入クラシックカーに精通した工場にて受けています。

主な整備履歴としては、

@2017年4月

・エンジンOH他

@2017年7月

・エアサスOH

@2017年10月

・ブレーキ回り修理・交換・OH他

@2020年1月

・PW・ドアロック修理他

@2020年9月

・PW・エアコン修理

があります。

個々の詳細は書ききれませんが、見学の際に見ていただくことができます。

また、購入の際にはそれら整備履歴一式をそのままお付けするとのことです。

現状大きな不具合はありませんが、軽微なオイル漏れはあるとのことです。

●● インプレッション ●●

まず印象的なのは、始動音の凄味です。

オーナーさん宅に到着した際、少し離れたところで車内にて待機していたのですが、窓を閉めた車内からでもドスンというような始動音がわかるくらいでした。

それは、チューンドカーによくあるような、スポーツマフラーによる演出された音や高周波の音ではなく、ノーマルマフラーで抑えているのに隠しきれない大排気量V8の、マイルドなのにずっしり響くような重低音です。

これならオフィス内にいたウーレンハウト氏が気付いたというのも納得の野太さです。

一旦アイドリングになってしまえば静々と安定しているので心配はありませんが、始動時やアクセルを開けた時の迫力は気に留めておいた方が良いかもしれません。

ボンネットを開けると6.3リッターV8・名機M100エンジンと対面できますが、これまたノーマルなのかと疑いたくなるような迫力です。

エンジンルームの隅に鎮座する、空冷単気筒エンジンのようなものはエアサス駆動用コンプレッサーですが、後付けのブローバイキャッチタンクも相まって、このメルセデスがただものではないことをさりげなく主張しています。

しかしながら外装に目をやると、打って変わって堂々とした佇まいに優美さを漂わせた、スポーティなところなど全く感じさせない高級車なのですから、まさに羊の皮を被った狼、控えめを良しとする人を大いに満足させることでしょう。

内装も外装に違わず高級な仕立てで、当時4ドアセダンとして世界最速を誇ったパフォーマンスを秘めていることなど微塵も感じさせません。

現代の車にはない、細いピラーとステアリング、天地奥行きともに抑えられたダッシュボードとそれに貼られたリアルウッドのパネル等、質実剛健なメルセデスらしさの中にエレガンスを感じます。

MBテックスのシートはさすがに耐久性が高く、見た目掛け心地ともに劣化を感じさせません。

助手席にて試乗させていただきましたが、250ps/51kg•mと言われるパフォーマンスはとても街中ではその本領を発揮できず、限界の遥か下の領域を静かに走るのみとなります。

ただ静かとはいっても現代の高級車のような静粛さではなく、明瞭にエンジンの存在を感じさせられるような、6.3リッターV8の野太い響きのような低回転音をゆるゆると感じながらのドライブになります。

ATの変速ショックはハッキリと感じますが、これはATがヘタっているわけではなく、この車の仕様とのことです。

通常ならトルコンによってスムーズな変速がなされるように処理されるところを敢えてそういった処理をしていないらしく、それは強大なトルクに対応させるためなのだと思われますが、その点もまたこの車らしさなのでしょう。

エアサスとシートの恩恵により乗り心地もすこぶる良いので、ロングツーリングの際にも快適にその魅力を堪能できることでしょう。

総じて、見て乗って存分に愉しむことができるコンディションが保たれているのが美点ですね。

●● その他 ●●

スペアのモール類(中古)をお付けします。

スタッドレスタイヤ(1シーズン使用・ホイールなし)をお付けします。

小さなキズや凹み等が画像や動画ではわかりにくいため見学をお勧めしますが、オーナーさんご多忙につき購入を前提とした場合のみとさせていただきます。

●● まとめ ●●

一般には厳格で生真面目なオールドメルセデスにあって、エンスーエンジニアの熱意と遊び心から生まれたようなこの車は、その生い立ちも含め非常に稀な個性を持った車です。

控えめなのに実は怪物級のパフォーマンスを秘めているというキャラクターはまさにハイパフォーマンス・メルセデスの原点であり、その価値は今後高まるばかりといっても過言ではありません。

生産台数も6500台ほどと少なく、今となってはまずお目にかかることのない希少性もありますので、探していた人からしたらまさにチャンスと言えるのではないでしょうか。

オーナーさんは車両整理のため、売却を希望されています。

お車は、東京都豊島区にあります。

個人の為、消費税はかかりませんが、リサイクル料(10,440円)と月割りの自動車税のご負担をお願いいたします。

以上の記事内容は、オーナーさんのコメントをもとに作成したものです。
整備履歴、修復歴などに関しては、エンスーの杜で裏づけを取ったものではありません。
SOLD
画像クリックで拡大出来ます
大変希少な300SEL 6.3(W109)です。 
威風堂々たる佇まいに優美さが兼ね備えられています。 
 
リアスタイルも美しいですね。 
 
塗装面には艶やかさがあります。 
フロント回りからサイドにかけて目立つキズや凹みはありません。 
 
 
 
灯火類・エンブレム類はキレイですね。 
 
グリル先端に軽微なキズがあります。 
バンパーのゴム部分にやや擦った跡があります。 
こういったディテールがキレイですね。 
ステンレスパーツ類もくすみなく輝いています。 
 
ホイールキャップも良好です。 
リア回りも良好です。 
 
 
 
リアの灯火類・エンブレム類も良好です。 
 
モールに凹みとゴムの痩せがあります。 
リアウインドウのゴムに劣化が見られます。 
 
ルーフ部分には若干サビ浮きが見られます。 
 
右側Cピラーにも小さなサビ浮きが見られます。 
エンジンルームも良好です。 
見た目の迫力も凄い名機M100型エンジン。 
この部分にややサビが見られます。 
トランクも良好です。 
 
下回りも良好です。 
 
インテリアのコンディションも良好です。 
ステアリングも概ね良好です。 
左右のこの箇所にクラックが見られます。 
スッキリと開放感があります。 
 
クラシック調のAM/FMラジオが違和感なく収まっています。 
センタースピーカーは購入前から取り付けられていたものです。 
’69年式ながら、’70年式以降の仕様になっています。  
オプションの麻製マット。普段は別のものでカバーされています。 
広々とし掛け心地の良いリアシート。 
 
 
購入後の整備履歴は全て残っています。 


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TEL/090-2540-5952(ヤマナカ)

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