アルピーヌA110、このフォルムにラリーシーンを思い浮かべる方は少なくないでしょう。バックボーンフレームにFRPボディ、小気味よい小排気量エンジン、これらの要素を持つにつけ、走りの良さを連想するには容易いモデルです。外観には大きなさほど違いはないものの、積まれるエンジンによるグレードは多様で、ゴルディーニによるチューニングを受けたものなど、その特性にもバリエーションが存在するのも興味深いところです。

今回ご紹介しますA110は、いわゆる前期型のグレードで、ゴルディー二エンジンを積む1300G、年式は68年と聞いており、アルピーヌ本社のディエップ工場製の1300VAとの事。コーションプレートからもそれが判別できます。前オーナーはご友人だそうで、約4年前に個人売買で購入致しました。仕様としては本国フランスでこの状態にすでになっており、随所に走りを意識したパーツが組まれています。

まずは外観から、全体に傷みは見えません。FRPなのでサビを気にしなくていいところでは、年式の割にコンディションは良好と見受けます。FRP特有のクラックもさして目立つものは確認できませんでした。飛び石でしょうか、部分的にチップが散見されます。サイドガラス、リアウインドウはアクリル製です。レンズ類に割はなく、クリアに保たれています。

保管は完全屋内です。

内装にも取り立てるような傷みは覚えません。特徴としては4点のロールケージ、オリジナルではステッキ型のサイドブレーキはセンターコンソールに移設され、形状からしてもスピンターン等がしやすいもののようです。バケット形状のシートも破れはなく、しっかりしています。ダッシュ、天井も問題なし、カーペットもキレイです。内張は部分的に浮きが見られました。

エンジンも好調を維持しているとの事です。これまで大きなトラブルはないそう、キャブは現オーナーさんが新品交換、またセルモーター、エンジンマウントも交換しています。マフラーはデビルのものだそうで、存在感と音量は大きめです。

ミッションも同様に問題なしです。ホイールベアリングは交換しているそうです。

現在把握している不具合は、スピードメーター（トリップ含む）と燃料計が不動だそうです。
よって距離はメーター数値の参考値とし、詳細は不明と致します。

ETCはこのままお付け致します。

事故・修復歴は現オーナーさんではありませんが、過去は不明です。

自動車税の月割りとリサイクル券は別途清算をお願い致します。

A110についてオーナーさんは、その勇姿をやはりレース、ラリーシーンに思い浮かべるそうです。特に目に焼き付いているのが、このA110をベースとし、ルマンに出場したM63、M64あり、クラス優勝に加え、熱効率指数賞でも優勝を獲得する輝かしい戦績を持つ姿でした。そこにあるのは軽量なFRPの空力ボディ、ゴルディーニによるチューニングを受けた小排気量ユニット、それらはオーナーさんがA110に魅力を抱くに十分な要素を備えていると言えましょう。当時のその思いは止むことなく、そこに現れたのがこのA110でした。友人宅を訪れた際に佇んでいたそれにあの勇姿が蘇り、即譲り受けるのを決めたそうです。実際に手にしたA110はイメージそのままに、軽量であるのを存分に楽しめる乗り味、そこには前期型であるからでしょうか、非常に薄いファイバーがあり、また、ゴルディーニチューンによるエンジンは非常によく回り、レスポンスも良いそう、ウェーバーとデビルマフラーのコンビから発せられる音は、刺激的と言う表現が最も似つかわしくあるハードな仕様だそうです。楽しい走りをもたらせてくれましたが、なかなか乗る機会がなく、売却の意向を固めました。もはや伝説的なスポーツカーになりつつあるA110、古き良きレーシーな雰囲気が高まる仕様に魅力を覚える方はいかがでしょうか。

実車は東京都にあります。