たいへん希少なマニュアルミッションの928GTSの登場です。
911の上を行くフラッグシップとして開発された928は革新的で優秀なサスペンションや豪華な機能を備え、高価な価格も含めてまさにバブル期のスペシャリティカーといった存在です。
景気の後退とともに販売台数が減っていく一方でライバル車種とのスペック戦争は止まらず、初期モデルと最終モデルのGTSを比べると排気量は1リットル近く増えて約1.5倍の350馬力を放ちます。
幾度の改良を施されながらも18年間も同一の形式で生産されたのですから、如何に素性の良い車両であったかということが伺えます。
そんな928ですが日本国内ではAT車のセールスが大多数を占めていたため、総生産台数3000台弱といわれるGTSのうち少数派のMT車となれば入国はほとんど無かったようです。
ご紹介する車両はオーナー様がドイツに赴任されていた時に現地で購入し、日本に戻る時に一緒に連れてこられたものになります。
最初の所有者がポルシェ社となっているのが興味深いところですが、これは社員への報酬として貸与されていたことを意味しており、そのためフルオプションといえる豪華装備となっています。
ドイツ国内にて約8万キロ走行されていますが道路交通事情を考えれば納得できる距離であり、オーナー様が実感しているところでは日本国内での走行距離の半分程度の走行ダメージとのこと。
以下はオーナー様からいただいたコメントです。
「常に肩に力が入るスポーツカーらしい911に対してリラックスできて、それでいて良好なハンドリングは高速道路から峠道まで十分に楽しめます。」
「ライバル車種と比べて走ることに関しての各要素が非常に高い次元でバランスしていることが素晴らしい。」
「とても気に入っていて16も年乗り続けて来ましたが、これとフィーリングの近い車に出会ったため買い替えを検討しているものの、手放せば二度と手に入らないため大切にしてくださる方にお譲りしたいです。」
◆◆外装◆◆
濃いグリーンにメタリックが乗った美しいグリーンで、前方から流れるようなデザインはいかにもグランドツアラーです。
フロントバンパー下にはかなり低い位置までスポイラーが備わり、リアスポイラーと合わせて空力効率が良さそうです。
フロントバンパーの勲章(飛び石傷)とドアエッジの傷は致し方ないところですが、ボディ全体は年式や距離を考えれば綺麗な状態と言えます。
給油口の蓋に小さな浮き錆びのような物が見受けられますが、蓋部分だけですから気になる方でも修正は容易に行えるでしょう。
また、助手席側Bピラー付け根の前方にシミのような色違いが見受けられますが、ディーラーでの購入時からとのこと。
正規輸入車では法律をカバーするためのオーバーフェンダーが付いていますが、ヨーロッパモデルでは設定されていないため付いていません。
この状態でもタイヤは飛び出ていませんし、車検も問題なく通しています。
◆◆内装◆◆
ドアを開けた瞬間に前置きエンジンの後輪駆動と察する、911とは異なる車内です。
オーソドックスなT型のダッシュボードからトルクチューブが通るセンタートンネルへつながり、2+2のリアシートはまさにバケットと言うような形状です。
これらの内装は全てオーダーインテリアと思われるグリーンの革張りで統一されており、天井や荷室も例外ではありません。
車内にはフルオートエアコンやパワーシート、6CD+6MDチェンジャーのオーディオ、両側にエアバックが備わります。
AM/FMはドイツ仕様のためチューニングが合わず、CDナビはさすがに古いため当てにしないほうが良いでしょう。
ダッシュボード上のエアバッグ格納部分の捲れ上がりと、運転席とシフトノブには使用感が出ています。
しかし10万キロ目前と考えれば、丁寧に扱われていたと想像できる車内でしょう。
◆◆機関◆◆
5.4リッターの排気量を持つV8エンジンは非常に力強く、とくに排気ガスの制限がある最近の車よりも低回転からしっかりとパワーを感じられるそうです。
モーターのようにスムーズに回るBMWの直6やフェラーリのV12も気持ちよいですが、スムーズすぎるゆえにトルクを感じにくく物足りなく感じてしまうのだとか。
そしてこのトルクをつなぐミッションは小気味良くシフトチェンジが決まり、大排気量スポーツエンジンの気難しさは無いそうです。
自動車レースをされていたこともあるオーナー様ですから、メンテナンスやコンディションの評価には厳しい眼をお持ちです。
もちろんこの928GTSでサーキットを飛ばすようなことはしていないものの、一般道を走るレベルでも十分にそういったことは感じられます。
熟成の進んだ最終形ですからトラブルは無く、非常に調子が良いとのこと。
ドイツでの整備はポルシェセンターにて、日本での整備はミツワ及びポルシェセンターにて行われています。
◆◆同乗走行◆◆
オーナー様のご厚意により、助手席での同乗走行をさせていただきました。
実際のコンディションがどのようなものか、やはり試乗するのが一番です。
重厚感のあるクランキングの後に吼えるようにエンジンが目覚め、コクッとスムーズにローギアに入れてミート、日本へ運ぶ前にクラッチ関係はオーバーホールされているため繋ぎやすそうです。
シフトチェンジはコクコクとスムーズに決まり、早めにシフトアップしてしまっても低回転から力のあるエンジンが引っ張ります。
街中では全開加速は叶いませんが、踏めば踏んだ分だけリニアに加速していくとのこと。
大きなボディに大きなエンジンですが、意外なほど扱いやすそうというか、2,000〜3,000ccのスポーツカーのように取り回し出来そうな印象を受けました。
足周りはもちろん、ステアリングやブレーキ周りにも異常は感じられませんでした。
◆◆取材を終えて◆◆
たいへん希少な車両です。
こういったカテゴリーだけでなくスポーツカーにマニュアルが無くなりつつある現代において、この928GTSのMT車は残しておかなければならないでしょう。
真剣にご興味ある方はご相談下さい。
◆◆平成27年3月更新◆◆
車検期日及び、走行距離を現在の状態へ更新致しました。更に下記整備も実施済みです。
以下、整備内容です。
・パワーステアリング一式交換
・タイミングベルト調整(現段階では交換が不要とのポルシェセンターでの判断により、調整のみ)
・リヤゲートモーター交換 ・フロントフードダンパー交換
・左運転席側ドアキーシリンダー交換 ・左運転席側パワーウインドウモーター交換
・左右クーリングファン交換 ・左運転席側ウェザーストリップ、Bピラー側ウェザーストリップ交換
・ウインカースイッチ(レバー)交換 ・レーダー探知機装着(アシュラ:AR−G100A)
・ナビをカロツェリアHDDナビに交換(AVIC−VH09) ナビは1DINサイズなので、見た目もすっきりしました。
上記整備済みで更に、今回は私からの無理なお願いをお聞きいただき、価格の値下げもご了承頂きました。
たいへん希少なお車ですので、大切にして頂ける方に乗り継いで頂きたいと思います。
なお、リサイクル券¥15,890の全額負担と、自動車税¥96,000の月割り負担をお願いいたします。
保管場所 東京都
また、現在も使用されているため、走行距離が若干伸びることがあります。