このクルマ見かけた事ありますかと尋ねれば、ほとんどの方がないと答えるでしょう。かなりレアなモデルのビーティーをご紹介します。
その出で立ちからキットカーであるのは想像できますが、では一体何がベースでどんなスペックかと知ろうとも、全くデータがありません。唯一は過去に雑誌で取り上げられた事がありますので、それを元に紹介します。

生産国はニュージーランドです。ビーティーカーズが製作した2シーターオープンで、いわゆるバックヤードビルダーですが、VINを持つれっきとしたメーカーだそうです。キットカーとしてスーパーセブンかのような鋼管スペースフレームのシャーシにエンジンはトヨタの3SGにミッションはソアラの5速という構成です。フロントはダブルウイッシュボーン、リアはエスコートのアクスルを組んでいるとの事です。ボディはFRP製、このフィニッシュこそがビーティーの秀逸なところと記されています。

オーナーさんはこちらを平成16年頃に知人を通じて購入、その際は新車として、おそらく国内では1号車であろうとの事です。

そのボディを見てみましょう。ルックスは明らかにクラシカルなレーシングカー然としたものです。抑揚の効いたラインはドアはありません。耐候性を生むアイテムも見当たりません。状態は良好です。FRP特有の塗装のクラックは見当たりません。大きく回り込む格好のスクリーンも割れはありませんでした。

シンプルこの上ない内装はタンが基調です。シート、インパネがそれで構成されており、こちらもそれぞれ傷みはありません。メーター類も動作に問題なかったそうです。

機関もこれまで何ら不具合は感じていなかったそう、トラブルなく修理も要していませんでした。ただオイルは漏れまではいかないものの、滲みはあったそうです。
現状では、ここ3年は全く動かしていない状況で、走らせるにはそれなりの整備を行った方が良いとの事でした。ただ、止めてしまった際には、何か不具合があった訳ではないそうです。

バッテリーも上がっているため、こちらも要交換です。

タイヤは山はありますが、年数が経過しているのと、グリップ性能が低いそうですので、交換を勧めるそうです。

事故・修復歴はないそうです。

トノカバーが付属品としてあります。

現在は一時抹消の状態で、車検はサイドミラーさえ備えれば通るそうです。

クーラーやヒーターの快適装備の類は一切備わりません。

当初はスーパーセブンを求めていたオーナーさんでしたが、新たにニュージーランドから国内にデリバリーされるこちらを紹介され、非常な珍しさも手伝って購入を決めたものです。その特徴は何よりも希少性、すれ違うどころか、まず存在すら知らない人が大多数いるであろうところに大きな魅力を覚えたそうです。その走りの具合を尋ねますと、軽量なところに現代の2リッターを積んでいる事からも明らかなように、また非常にローギヤードな設定からも、加速力は相当なものとの事でした。過去に一度だけサーキットに持ち込んだ事があるそうですが、その際もそれは存分に味わえたようで、ただ操作性はその挙動をつかむのに、多少の慣れが必要と言う思いを得た様子でした。動かせはしないものの、コクピットに収まるのを体感しました。乗り込むにドアはありません。シルをまたいでと言う所作を強いられる辺りはレーシーなものです。シートに腰を下ろせば、ちょっとしたレーサー気分に浸れるポジションに自ずとなりました。足元はセブン同様にタイトなものですが、サイドに空間があるため、セブンのように体を出して乗るような、あるいは肘を畳むような姿勢を取られる必要はなく、荷物を置く事も出来る重宝さもあります。シフトは非常にクイックなフィールで、短いストロークはカチカチと小気味良い印象でした。今回は乗る機会が全くなくなり、それで動かす事も出来なくなった事から売却するに至りました。人とは全く違う唯一のモデルに乗りたい、希少性を最優先とする選択肢を持つ方に、オージー産のキットカーはいかがでしょうか。

実車は埼玉県川越市にあります。