デイトナをベースに製作され、当時のフラッグシップとして人気を博したモデルです。
頑丈なチューブラーフレームの上に各パーツがマウントされ、古い車ゆえの不安や危うさは感じられません。
お飾りではないリアシートや独立したトランクなど使い勝手もよく、小変更こそあれ18年間もの長寿命モデルとして生産されただけの理由は随所に感じられます。
数年前に横浜のビンテージ専門店より購入され、さらに多額の費用をかけてレストアに近い整備を行われています。
6連キャブレター仕様のV型12気筒エンジンを積み、なおかつ5速マニュアルという仕様は生産台数が少なく、オーナー様もその価値を大切にされてきたといえるでしょう。
保管は空調付きのガレージで、コンディション維持に余念はありません。
◆◆外装◆◆
ピニンファリーナによるデザインはエレガントさと実用性をしっかりと両立させ、とくにリアビューは美しく仕上がっています。
保管状態が良く、僅かな洗車傷が見られる以外に塗装面は非常に綺麗です。
佇まいもしっかりとしていますし、違和感を覚えるようなことは全くありません。
しかし、1点だけ残念なのが写真でも確認できるリアバンパーに残る接触の傷跡です。
バンパーのみの外傷ですから修理は簡単に行える程度のものですが、他の状態が良いだけに目についてしまいました。
◆◆内装◆◆
調整されているのか、立てつけの良いドアを開けると豪華な内装が出迎えてくれました。
ダッシュボードやコンソールは全体が革張りとなっていますが、割れなどはありませんし、唯一ウッドが張られているセンターコンソールも艶やかに輝いています。
運転席こそ使用感がありますが、4座のシートはおそらく張り替えなどはされておらず当時のままでしょう。
天井の垂れもなく、こちらはコンディション上々と言えるでしょう。
◆◆機関◆◆
フロントに積まれたエンジンはデイトナとほぼ同仕様となり、ウェーバーの6連キャブが並ぶ姿は格好良いの一言。
わずかにガソリンの臭いが漂い、メカニカルな輝きはエンスーな心を鷲掴みにしてくれます。
整備は各所に行き届いているようでエキゾーストやサスペンションは新調されているのが分かり、随所にSEVによるチューンナップが見られます。
また、錆付のないブレーキローターからは、しっかりと走らせてコンディションを保たれていることが伝わってきます。
走行に関わる不具合はありませんが、クーラーはガス抜けのため冷えないそうです。
◆◆同乗走行◆
オーナー様のご厚意により、助手席での同乗走行をさせていただきました。
まず、エンジンの始動はセル一発という機嫌の良さを見せてくれます。
冷間時からアイドリングは落ち着いていますが、暖気が終わるころには低い回転でぴたりと安定しました。
エンジンは瞬間的に吹け上がり、6機ものキャブレターがしっかりと同調していることが分かります。
スムーズに決まるギアチェンジを繰り返し、気が付けばスピードはあっという間に法定速度に達してしまいました。
また、高回転まで引っ張ればフロントからエンジンの唸りが響き、リアからは排気管が吠えるという二重奏がたまりません。
それにしても、不安を全く感じない走りは素晴らしいですね。
フラッグシップとしての造り込みはもちろん、オーナー様のメンテナンスの成果を感じられました。
◆◆取材を終えて◆◆
久しぶりにドキドキした取材でした。
この車が作られた時代を考えると、装備や仕上げの細やかに感心してしまいます。
もちろんこの状態を維持されるのは大変なことでしょうが、ぜひ次のオーナー様にも可愛がっていただきたいですね。
オーナー様は多忙ですので、しっかりと購入意向のある方のみお問い合わせ下さい。
なお、自動車税\84,100の月割り負担をお願いいたします。
保管場所 東京都
また、現在も使用されているため、走行距離が若干伸びることがあります。