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ダイムラー ダブルシックス 1992年式
車検 31年5月 走行 19,900km 備考 ディーラー車 3AT ワンオーナー 禁煙車 ETC
長さ 4960mm 1770mm 高さ 1370mm 重量 1910kg 排気量 5344cc
取材日2017年3月30日

大変希少な、最後のディーラー車でワンオーナー、走行距離20000km以下のダブルシックスです。

1968年にSタイプ、420、240/340の後継として登場した初代ジャガーXJ。そのリリースから4年後に追加されたV型12気筒エンジン搭載バージョン、XJ12の兄弟車がダイムラー ダブルシックスです。

XJにおける2度のマイナーチェンジ(シリーズT:1968-1973、シリーズU:1973-1979、シリーズV:1979-1986)に従ってダブルシックスもアップデートを続け、1986年にXJ自体がフルモデルチェンジを受け形式名XJ40になった後も、そのXJ40のエンジンルームの狭さゆえV12が載らなかったため、旧型であるシリーズVベースのまま1992年まで継続生産されました。

そのおかげで、合理的なニューモデルであるXJ40が失った、初代ジャガーXJの持ち味である、凝りに凝ったリアアクスルがもたらす、乗用車の理想形とも言われる極上の乗り心地と、創業者ウィリアム・ライオンズが手掛けた、複雑でエレガントなオリジナルデザインが基本的に変わらぬまま'90年代前半まで生き続けることができた、ある意味とても幸運なモデルです。

年次を追うごとに完成度を高め続けたダブルシックスは、'87以降のモデルで電気系統が改良されトラブルがグッと少なくなり、さらに最終型('91~'92モデル)にのみABSが装備されています。

●● プロフィール ●●

若い頃から何台ものエンスー車を乗り継いできたエンスージアストで、現在でもメルセデスSLやランドローバー・ディスカバリー等を所有するオーナーさんが初めてジャガーを買ったのは、ジャガージャパン(現:ジャガー&ランドローバー・ジャパン)が日本で立ち上がり新橋にディーラーができた時にすぐ買ったXJ6(XJ40)でした。

そのXJ6に7~8年ほど乗ったのちにこのダブルシックスを購入されるわけですが、購入動機はズバリ "ダブルシックス最後のディーラー車" だったから、とのことです。
ディーラーマンでも「まだ在庫があったんだ」と言っていた人がいたというほどで、本当に最後の1台だったようです。
1年以上在庫として眠っていたらしく、それを裏付けるかのように、初年度登録は'94年4月です。
(1992年までのモデルのため、表記上は1992年式とさせていただきました。車台番号で調べたところ、1992年製造でした。)

XJ6とダブルシックスを買った営業さんとは今でも付き合いがあるものの、ディーラーにはこのダブルシックスを扱えるメカニックがもういないとのことで、現在の主治医はダブルシックスやジャガーXJSを中心に扱う専門工場で、通常のメンテナンスに加え主治医の判断で良いと思われるメンテナンスを完全お任せで受けています。

他に所有する車が複数あるため基本的にあまり乗っていないとのことですが、御殿場にある行きつけのレストランに家族で行く時と、家族を迎えに羽田空港まで行く時に主に使っているとのことでした。

●● コンディション(外装) ●●

一目見るなり程度の素晴らしさが伝わる外装です。20余年経てこの美しさですから、オーナーさんがいかに丁寧に扱ってきたかがよくわかります。

なのでシャッター付きガレージなどで保管していたのかと思うとさにあらず、屋根付きではありますが、オープンな車庫です。しかも、キズになるからとカバーも掛けていないとのことです。
しかしながら北向きで日のあまり射さない環境のおかげで、色あせやキズがほとんど感じられない艶やかな塗装面が維持されています。

灯火類、特にプラスチック製のレンズ類の状態も非常にキレイですし、ゴムパーツの劣化もほとんどありません。メッキパーツも非常にキレイな状態です。
ミラーの付け根など部分的にはよく見ると若干ですがさすがに劣化が始まっている箇所もありますが、他が良すぎるだけに目立ってしまうのかもしれません。

純正アルミホイールにガリ傷はありませんが、一部落ちない汚れはあります。

外装の主な瑕疵は、

・フロントバンパーのゴム部分がやや変形
・フロントバンパーの小キズ
・フロントフェンダー右側のメッキモールにデント
・運転席側ドアガラス前方の三角パネルにポツポツ
・助手席側ドアのエッジに塗装欠け
・左リアドアノブ周りのモールに小キズ
・左側フォグランプが点灯しない(球or部品が日本で入手困難なため手付かずとのこと)

等があります。

●● コンディション(内装) ●●

内装も負けず劣らず素晴らしいコンディションです。実走20000km弱と言われれば文句なしに納得出来る状態ですが、これが2年前ではなく20年以上前の車の内装なのですから、オーナーさんの愛情が滲み出ています。

ジャガー/ダイムラーといえば革と木の世界ですが、上品なグレーの革は色・艶ともに美しく保たれ、ステアリングの革もテカリはあるもののスレはありません。

とはいえ、20年以上も経つとさすがに無キズとはいかないようで、コノリーレザーの助手席座面だけスレが出てきてしまっています。

ウォールナットのパネルも基本的には小キズもなく艶やかで美しい状態ですが、残念ながらグローブボックスのフタとダッシュボードのダイムラーエンブレムのところの2箇所にクラックが入ってしまっています。

また、バックミラーの下側におそらく接着剤のはみ出しが出ています。

あとはサイドシルのスカッフプレートにスリキズがやや認められますが、気になる点はそのあたりくらいで、禁煙車だけあってメーター類やスイッチ類、カーペットに至るまでとてもキレイな状態です。
ダッシュ割れなどもちろんありません。

メーター類は基本的に正常に動いていますが、右側フューエルタンクのメーターのみ、残量が半分くらいでストンと落ちる持病があるとのことです。

エアコンはOKです。オーディオもラジオはOKです。
カセットはNGとのことですが、新車当時のAM/FMカセットデッキが付いており、雰囲気を壊したくないため敢えてそのままにしているとのことです。
CDチェンジャーも当時のものがトランク内に付いていますが、ほとんど使ったことがないとのことで、作動は不明です。

●● コンディション(機関) ●●

車は消耗品の塊みたいなものですから、走行距離が20000km弱だからと言って、並の20年OVER車では至るところが劣化して、故障頻発になっても不思議はないでしょう。日本車ほどゴムパーツや電装品の耐久性が優れていない当時の英国車ならなおさらです。

ただこちらのお車は、非常に良いコンディションが保たれています。それは、丁寧に使うオーナーさんと、適切な整備でトラブルを未然に防ぎつつ起こったトラブルはきっちり治す主治医の仕事の賜物でしょう。

現在の主治医になってからの整備明細は全て、場合によっては写真入りでファイリングされているため、今までどのようなメンテが施されてきたのかが手に取るようにわかります。

ダブルシックス定番のウイークポイントはイグニッションコイルで、ここの不調のため出先で止まってしまうことも往々にしてあり得ることですが、主治医によって対策が施されています。
本来エンジンルーム内の奥にあってややメンテしにくい位置にあるイグニッションコイルをラジエーター上に移設しつつ予備のコイルを併設し、万一不調になった場合はハイテンションコードを予備の方に接続しなおすことで対処できるようにしてあるので、安心感が高い仕様になっています。

また、普段あまり乗らないため、バッテリー上がり対策としてキルスイッチが追加されています。そのバッテリーも'16/11に新品交換されています。

現在特にトラブルはないとのことです。
修復歴もありません。

●● インプレッション ●●

まず驚くのが、ドアを開け閉めしてすぐにわかる、建てつけの良さです。20余年の歳月を経た、元をたどれば'60年代に設計された英国製のボディとはとても思えないカッチリ感が手に伝わってきます。
現在の主治医をして「この状態で残っているダブルシックスはこの個体くらいだ」と言わしめるのも頷ける、抜群のコンディションを保っています。

イグニッションオンでエンジンはあっけなく掛かり、異音もなくスルスルと、粛々とアイドリングを始めます。
ダブルシックスはキーがONの位置でブザーが鳴り、鳴り止むまでエンジンを掛けてはならない儀式がありますが、オーナーさんは新車購入以後頑なにそれを守り続けています。

助手席にて試乗させていただきましたが、何よりも感動するのが、ジャガー製V12エンジンの何とも滑らかできめ細やかなフィーリングです。
長年にわたり適切なメンテを受けてきたジャガーのV12は、旧い車であることなど微塵も感じさせない落ち着いた振る舞いを見せ、大排気量ならではの大トルクをもって低回転域だけを使い、あくまで静かに滑らかに、2トンにもなる巨体を極めてスムーズに走らせます。

シートの張りは革の硬化やヘタリなどは感じられない掛け心地の良さで、最高にしなやかな足回りの挙動と相まって極上の乗り心地を味わわせてくれます。

ステアリングやATシフター、ピラーなど視界に入るもの全てが細いため、逆に全てが太くゴツい現代車の威圧感や圧迫感に慣れた目には圧倒的に軽やかで優雅に感じます。

ただ街中を走るだけでもこれだけ心地良いこのダブルシックスですが、オーナーさん曰くその気になれば高速でもかなり速く走れるとのことで、エレガントなサルーンとグランドツアラー両方の性格を兼ね備えた車と言えますね。

●● その他 ●●

ワンオーナーだけあって、ナンバーは2ケタの練馬34です。
練馬ナンバー管轄区域にお住いの方でしたらそのまま引き継げるのも魅力ですね。

多少の経年劣化はあるものの、ほぼ未使用と思われる状態で純正車載ジャッキやジャガーロゴ入り車載工具も完備しています。

燃費はさすがに旧いV12だけあり概ね2~3km/Lとのことで、昨今のエコカーの数分の一程度しか走らないのは、目を瞑るしかないでしょう。

●● まとめ ●●

ダブルシックスに精通した職人的プロにメンテナンスは全面的に任せ、普段の扱いは車に負担になるようなことはせず、たまにしか乗らないとはいえ適度に中長距離を中心に少しずつマイレージを重ねてきたこのダブルシックスは、単に走行距離が少ないだけの車とはひと味もふた味も違います。

たまたま在庫として眠っていた、日本で最後の1台が幸運にも車をよく知り永年維持できる余裕のある人の手に渡り、その人のもとで一貫して維持管理するという環境で丁寧に熟成させてきた、稀有なコンディションの良さを保っているお車と言えましょう。
現存するダブルシックスでとにかく良いものを・・・という方は見逃せないお車ですね。

出番こそ少ないですが、今でも現役で家族のための車として活躍中であるこのダブルシックス(ですので、緩いペースではありますが、今後も走行距離は延びていくと思われます)、オーナーさんは現在も愛着をもって乗られていますが、他に興味のある車もあるとのことで、売却を希望されています。

お車は、東京都新宿区にあります。

個人の為、消費税はかかりませんが、リサイクル料(12920円)と月割りの自動車税のご負担をお願いいたします。


追記:
29年5月 車検を取得しました。

また、取材後、

・左側フォグランプ修理
・助手席座面スレ再塗装
・オーディオ交換(パイオニア製。純正デッキは保管)
・エアコンガス補充
・燃料計修理
・エンジン洗浄
・キーパークリスタル施工

等を施しました。

以上の記事内容は、オーナーさんのコメントをもとに作成したものです。
整備履歴、修復歴などに関しては、エンスーの杜で裏づけを取ったものではありません。
SOLD OUT
画像クリックで拡大出来ます
程度が抜群に良いダブルシックスです。 
基本的にフルオリジナル状態が保たれています。 
 
長大なボディにコンパクトなキャビンが往年のジャガー/ダイムラー流ですね。 
 
ボディの前後が絞り込まれており優雅さを強めています。 
 
一目見て美しい外装。劣化の度合いは最小限です。 
バンパー先端に若干の傷はありますが、極めて良好なフロント周り。 
ゴム部分にやや変形が見られます。 
ロービームにやや焼けが見られる程度で、灯火類のコンディションも良好です。 
ダイムラーの代名詞、上部に縦筋が入るフルーテッドグリルもキレイですね。 
波状ボンネットも後年のモデルより繊細な造形ですね。 
ホイールはガリキズなく概ねキレイですが、右前輪だけ落ちない汚れがややあります。 
右側の三角プレートにポツポツとしたサビが発生しています。 
見るからにコストが掛かっている、美しいドアミラー。 
左側の三角プレートはキレイですが、ミラーのベース部メッキに曇りがあります。 
左側リアのドアノブの枠には小キズがあります。 
塗装面とメッキモールの状態の良さは、全般的にこのような感じです。 
右側フロントフェンダーのメッキモールに1箇所だけデントがあります。 
 
助手席ドアのエッジには塗装欠けが。どうしても助手席側はキズが増えがちです。 
フロントグリルのメッキ、目を凝らすと若干ですがプツプツが浮いてきています。 
 
リア周りも非常にキレイですね。 
 
 
 
やや使用感はありますが、トランクルーム内も良好ですね。 
 
インシュレーターも含めエンジンルームも良好です。 
ラジエーター上に移設&増設されたイグニッションコイルがあります。 
 
内装もとても状態良く保たれています。禁煙車です。 
パネル類スイッチ類、メーター類もキレイです 
実走19800km台は今となっては非常にレアですね。 
エンブレム上のクラックもこの角度だと分かりにくいですね。 
 
グローブボックスの扉パネルにあるクラック。 
エンブレム上のクラック。この角度だと良くわかります。 
バックミラーの下側に接着剤と思しきはみ出しがあります。 
運転席はとてもキレイですね。 
助手席の座面だけヤレ・スレが出てきてしまっています。 
リアシートはとてもキレイですね。 
  
毛足の長いカーペットの上に保護用のマットを敷いています。 
実走20000km弱を物語る運転席フットスペース。 
 
下回りも至ってキレイですね。 
 
 


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